1996 Fiscal Year Annual Research Report
新たなコレステロール代謝阻害薬の動脈硬化症治療への応用に関する研究
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07557342
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡本 洋 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (50260394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 順 新潟大学, 医学部, 助手 (90242403)
小野 輝夫 新潟大学, 医学部, 教授 (00000927)
川口 秀明 北海道大学, 医学部, 教授 (70161297)
北畠 顕 北海道大学, 医学部, 教授 (00124769)
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Keywords | コレステロール代謝 / スクアレンエポキシダーゼ / 動脈硬化症 |
Research Abstract |
本研究では、コレステロール生合成系酵素の構造及び機能を明らかにし、その阻害剤を通じ効率的に高コレステロール血症、動脈硬化を是正することを目的とした。まずラットのスクアレンエポキシダーゼ(SE)cDNAをテルビナフィンの存在下でクローニングした。単離したラットSE遺伝子をプローブとしてマウス及びヒトSEの全長のcDNAを単離した。ヌクレオチド配列から推定したラットSEは573個のアミノ酸を含み分子量は63,950を示した。アミノ酸の一次配列から膜結合ドメインの候補としてN末端近傍の27-43位の疎水性領域を有しこの領域の後方にはFAD結合ドメインモチーフであるβ1-αA-β-2モチーフを含んでいた。酵母を含め哺乳類SEで最も良く保存されている一次構造領域はウンデカペプチドとしてC末端側にあり、次いで保存されている領域はFAD結合ドメイン直後に存在した。これらの配列はラットの他マウス、ヒトでも共通に存在し、マウス、ヒト、酵母のアミノ酸の一次構造のホモロジーはそれぞれ、93、83、及び30%であった。さらに、大腸菌での発現系を確立し、精製したリコンビナント酵素の活性からSE活性を有すること、また、ノーザンブロテイングからmRNAが2.8kbのサイズを有し、ゲノム中で単一のコピーとして存在することを確認した。一方、阻害剤のアナログからはウンデカペプチドのごく近傍にある結合部位を想定した。さらに、ヒトの遺伝子ライブラリーをスクリーニングし、ヒトSE遺伝子の全長は17kbで11個のエクソンを含んでいた。10個のイントロンは87から3.2kbの範囲にあった。エクソンI,IIはそれぞれ推定膜結合ドメイン及びFAD結合モチーフを有し、全ての遺伝子で共通なウンデカペプチドはエクソンVIIIに存在していた。またSE遺伝子座は染色体8番に局在し、かつマイクロサテライトマーカーD8S508とリンクしていることが明らかとなった。マーカーは染色体8のq24.13テロメアに局在した。また、プロモーター領域の解析の結果イニシエーションコドンの上流700-800bpにあり、古典的なSRE様シスエレメントとNF-YがステロールによるSE遺伝子転写調節に重要な役割を有することが推定された。今後、効率的な阻害剤開発をさらに進めるとともに動脈硬化モデルにおける検討段階に入る予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nakamura Y.: "Transcriptional regulation of squalene epoxidase by sterols and inhibitors in HeLa cells" J Biol Chem. 271(14). 8053-8056 (1996)
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[Publications] Nagai M: "Localization of the squalene epoxidase gene to human chromosome-8q24. 13" Genomics. (in press). (1997)