1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07557358
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
中山 泰秀 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 室員 (50250262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高市 成子 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室員 (00093930)
棚橋 雅美 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 流動研究員
菅原 隆 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (70235860)
松田 武久 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 部長 (60142189)
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Keywords | 止血剤 / 内視鏡 / 光反応 / ゼラチン / エキシマ・レーザー |
Research Abstract |
本年度は主として光反応性止血剤の要素材料の分子設計を行った。光反応性基として紫外光に感受性を有するベンゾフェノン基を選択し、これにカルボキシル基を導入した誘導体を合成した。この誘導体とコラーゲンの熱変性蛋白質であるゼラチンとをカップリング試薬により脱水縮合反応させることにより、光反応性止血剤の要素材料であるベンゾフェノン化ゼラチン(光反応性ゼラチン)を合成した。これを生理食塩水に溶解させ、紫外光を照射すると、含水膨潤ゲルを生成した。光硬化性の検討により、光源として高強度の紫外パルス光を発振するエキシマレーザーを用いて照射すると、数十秒以内に硬化させることができることを明らかにした。また生成ゲルの力学的強度は架橋補助剤として新たに分子設計した両末端にアクリレート基を導入したポリエチレングリコール・ジアクリレートを添加することによって調節可能であることを明らかにした。 光反応性ゼラチン、架橋補助剤を溶解した生理食塩水を光反応性止血剤とし、動物実験を行った。ラットを開腹し、肝臓を露出させ、直径2mm深さ約2mmの切開創を作成し、出血させた。この出血は5分間の圧迫では止血できなかったが、光反応性止血剤を塗布した後、これにエキシマレーザー照射すると、止血剤は数十秒で硬化し、止血が完了した。硬化した止血剤は腹腔内洗浄後も剥離せず止血を維持した。組織観察すると、ゼラチン層が創部を完全に覆っていた。術後1週間で、止血剤はほぼ生分解され、組織の修復傾向が観察された。 光反応性ゼラチンと架橋補助剤からなる光反応性止血剤は漏出性出血に対する有用性が示された。内視鏡下手術への応用が期待できた。
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[Publications] Yasuhide Nakayama: "Newly Designed Hemostatic Technology Based on Photocuable Gelatin" ASAIO Journal. 41. M374-M378 (1995)
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[Publications] 石橋和幸: "光架橋を用いた新しい局所止血剤の開発と内視鏡下手術への応用" 人工臓器. 24. 97-101 (1995)
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[Publications] 中山泰秀: "光架橋型ゼラチンの分子設計:エキシマレーザー照射によるゲル化及び止血剤への応用" 人工臓器. 24. 102-105 (1995)