1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610144
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
高橋 恵子 聖心女子大学, 文学部, 教授 (40050786)
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Keywords | 友人関係 / 親友 / ジレンマ課題 / 文化差 |
Research Abstract |
先行研究を検討した結果、欧米の友情の考え方と比較するために、Selman, Kellerの友人概念について質問(いわゆるジレンマ課題-親友と転校生の両方と同じ日に遊ぶ約束してしまった主人公のジレンマ)を用いることにした。ちょうさ対象としたのは、小学1年生から大学生までの5年齢群の男女、計約100名である。個別面接をし、録音記録を逐一おこしてプロトコルを作成し分析した。その結果を旧西ベルリンのそれと比較した。 分析の結果、わが国の子どもから大学生まで、友情とはなにかについての考え方(たとえば、どのような関係を親友と呼ぶか、親友はどのような心理的機能をもっているかなど)では、旧西ベルリンの調査結果と差がなかった。しかし、具体的な場面で、親友といわゆる友だちとのつきあいについて差をつけるべきかという質問に対して、わが国の対象はベルリンのそれとか異なる反応をすることが注目された。 すなわち、ベルリンの子どもが親友を誰よりも重視するとしたのに対し、わが国では大学生までが、転校してきたばかりの子どもでも「友達」だとし、親友と転校生の両方とともに仲良くすることこそ望ましいとするという文化差が注目された。 この結果、いわゆる親友の概念については差がないものの、友だちと呼ぶ人間関係の範囲がわが国のそれは欧米に比べて広いのではないかと予想させた。たとえば、「友だち」をあげさせるとわが国では欧米の子どもより多数をあげるのではないかと示唆されたのである。
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