1996 Fiscal Year Annual Research Report
環境変動に伴う造船重工業の組織構造・組織文化に関する時系列的研究
Project/Area Number |
07610199
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
小林 幸一郎 東洋大学, 社会学部, 教授 (10057995)
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Keywords | 平成不況経済 / 組織構造 / 組織文化 / 外部環境への対応 / 情報化 |
Research Abstract |
平成不況経済という企業環境の性質やその変動への認識に研究視点をおいた。造船・重工6社が対象。分析枠組は経済的,社会的外部環境への認知,環境問題への関心,情報高度化とその組織機能への影響に対する認知,経済的,人的規模と構成の推移,関連会社を含む組織編成形態の変化,企業文化・組織文化への認知等から構成。 詳細な分析は継続中であるが,以下の結果を得た。 (1)人的規模については,石油ショック時の大巾な全企業的減少は見られず,各社とも事業所により増減の差はあるものの,伸び率は0.87〜1.04の範囲内で,各社による差異がかなり現われている。 (2)各社とも戦略指向がより強まっているが,このことが外部環境の認知からくる情報の意味理解と自社の資源動員の可能性と関連して,事業,顧客,組織,体質の各戦略に顕著な差異を生じさせている。例えばMHIとKHI,HS。 (3)組織文化は企業の戦略や価値意識を判断の正当性を解釈する装置である。グローバルな視野の中で明解な個性ある組織文化を打ち出している企業とそうでない企業に分かれている。例えば,MHIとSHI。 このように,平成不況経済のもとでは,石油ショック時の業界的同質性はほとんど見られず,企業格差が明示的に現われてくる傾向がある。その原因を体系的に究明する必要がある。
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