1997 Fiscal Year Annual Research Report
環境変動に伴う造船・重工企業の組織構造・文化の変化に関する時系列的研究
Project/Area Number |
07610199
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Research Institution | TOYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小林 幸一郎 東洋大学, 社会学部, 教授 (10057995)
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Keywords | 平成不況経済 / 造船・重工企業 / 組織変化 / 環境問題 / 情報化 / 組織文化(ハビテュス) / 戦略 / 調査の認識論 |
Research Abstract |
本研究は平成不況経済期における造船・重工企業6社の組織構造・組織文化の変化を,環境変動とそれへの適応の認知,環境問題,情報化の次元から調査した。合せて調査方法の認識論的,社会学的考察をも試みた。 戦後の産業構造の変動を4段階に分け,第IV期を高度知識集約型・資源再生型構造と見なした。またすべてにおいてグローバル基準が厳しく適用された。1970-75,1980-85,1990-95年の経済変動の中で,企業の基本的組織形態は,本社機構をスリム化し,事業本部制を強化し,第IV期では企業集団を事業経営の単位とする戦略に変った。 平成経済への適応感は業種により肯定・否定に分かれ,顧客ニーズ・市場構造と設備投資状況の変化,情報化の高度化を認知する者が多く,社会的要因のそれは少ない。約70%がある程度の会社の変化を感じ,その中で事業戦略と組織機構の変化を意識した。前者では重点化,後者では簡素化が多い。しかし思考・行動パターンや組織文化の変化は少なく,体質・ハビテュスの深広まで変化が侵透していないことを意味する。環境問題への関心はあるが,汚染物質・廃棄物の発生抑制・削減,リサイクルと省エネの推進のレベルで,行政や産業界で取り組むべきと認識している。情報化の重要性認識は高く,多種の情報機器を使用,パソコン導入によるコミュニケーションの効果と問題点が指摘された。社外とのコミュニケーションの活性化までには到っていない。組織文化では,外部開放性より内部開放性,試行性・革新性・独自性よりも仕事場の位置確実性の認知が多く,専門プロとしてのアイデンティティ感は高いが,将来への不安を強く感じている。内部志向的体質やハビテュスが環境変動という鏡で映し出された。ほとんどの項目で事業(本)部,職制,職種による差異が見られた。同時に調査に関わる,その過程で発生する主観性が検討された。
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