1996 Fiscal Year Annual Research Report
近世藩領社会の基礎的研究-阿波・淡路を事例として-
Project/Area Number |
07610334
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
高橋 啓 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (50140588)
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Keywords | 藩領社会 / 町方支配 / 御触書 / 夫役 |
Research Abstract |
本研究は、近世藩領社会の歴史的展開を阿波・淡路両面の史料にもとづいて具体的に検討しようとするものである。研究目的を達成するために、本年度は昨年に引き続き、主として関連史料の所在調査と収集作業を中心にして研究を進めた。その概要を示せば、以下のとおりである。 (1)蜂須賀家文書(東京都品川区・国立史料館所蔵) 同文書のうち、本昨年度は領主の町方支配に注目して、「御判物町奉行へ御渡被遊写」「御家老之面々方方町奉行へ被相渡候御書附写」など一連の関連史料を収集することができた。 (2)高田家文書(兵庫県洲本市、淡路文化史料館所蔵) 近世の城下町洲本の人別改帳をはじめ、町方に関する貴重な史料を収集することができたのは、大きな収穫であった。なお、同史料館所蔵の佐野家文書からも夫役関係史料を収集した。 (3)古郷家文書(徳島県三好郡、池田町公民館所蔵架蔵) 近世後期の徳島藩の「御触書」類ならびに同家「日用見聞録」をそれぞれ系統的に収集することができた。そのた、昨年度に継続して出原家文書(徳島県脇町、脇町史編纂室保管)のうち、給人稲田氏関係史料を調査・収集した。 収集史料は、現在整理中であり、まだ具体的な筆写・分析作業には入っていないが、本年度は従来ほとんど看過されていた町方文書を収集することができた。近世藩領社会における町方の構造ならびに村社会との相互交流のありようなどについて、収集史料を素材にして検討していきたいと考えている。次年度以降においては、これまでに収集した史料の整理・検討を進め、研究課題を明らかにしていきたい。
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