1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610352
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Seiwa Gakuen Junior College |
Principal Investigator |
菊池 慶子 聖和学園短期大学, 講師 (00258782)
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Keywords | 扶養介護 / 高齢者 / 病人 / 家族役割 |
Research Abstract |
本年度は研究の初年度であるので、研究に資するための文献・資史料・論文等の収集に重点的に取り組んだ。宮城・岩手・秋田の県立図書館,文書館,および国立国会図書館,都立中央図書館等で文献・論文等を探索収集し,また史料も東北の図書館や内閣文庫等でほぼ予定通り収集することができた。とくに秋田県立文書館では秋田藩の看病介護休暇制度の中身を記す「御暇式」や、領民の家族介護の様子が知られる「秋田藩孝行記」等の史料を発見することができ、大きな成果であった。なお、今年度は歴史学の資史料や文献を中心に収集作業を行ったが、本研究は近代以降は社会学・医学・看護学・福祉論の分野とも関わるところであり、そうした隣接諸科学、分野の研究成果にもアンテナを張らなければならない。次年度以降さらに幅広く成果の収集に努めたいと思っている。 資史料の探索の過程で得られた沼津藩「水野伊織日記」を用いて、「病気療養と武家社会」という論考をまとめ、『聖和学園短期大学紀要』33号に発表した。文久2年の麻疹流行にさいして、沼津藩が羅患した藩士やその家族に対していかなる措置を講じ、また個々の家において看病がどのように行われていたのかについて考察したものであるが、とくに看病介護休暇の制度としての“看病引(断)"の実態が浮かび上がったことは今後の研究につながる成果であった。家族内での看病介護の姿,老親扶養の様相,そしてこれらを支える社会システムのありかたを次年度以降さらに実証的に深めていきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)