1995 Fiscal Year Annual Research Report
戦国時代における産業および分化の地方移入について-その移入を支えた人々と在地社会に及ぼした影響-
Project/Area Number |
07610361
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Cultural History |
Principal Investigator |
鳥居 和郎 神奈川県立歴史博物館, 学芸部, 主任学芸員 (30155600)
|
Keywords | 戦国大名 / 後北条氏 / 分化移入 |
Research Abstract |
今年度の調査により、何点かの新知見を得たが、代表的なものを記してみる。 先ず、後北条氏の領国下における京七条仏所の仏師の活動がある。戦国期の武蔵・相模においては、本格的な仏像の造立は鎌倉仏師によることが多かったが、天正十三年から十四年にかけて、鉢形城主北条氏邦などが武蔵国秩父郡薄薬師堂で行った造仏は、銘文より京仏師によることは知られていたが、はたしで現地で制作されたか、それとも京都で制作されたかという問題も含め、詳細な調査・報告は行われていなかった。この前年に武蔵国羽生郡においても造仏を行っている事が今年度の調査で確認されたが、これを作品を検討すると複数の仏師が、後北条氏の領国下で長期的に滞在し活動していたことが明らかになった。また、これらの京仏師の活動により、武蔵北部の在地仏師の中で京仏師を称する者が登場するなど(行田市常慶院木造地蔵菩薩像の墨書銘には、天正十三年の京仏師の作とあり、制作期は合致するが作風は在地仏師)、領国下の仏師に与えた影響は大きいものがあった。 次に、後北条氏が京都から医師を招来することに関する新史料(陽明文庫所蔵史料)を発見することができた。この史料から、北条氏への医師の派遣については近衛氏が大きく関わっていることが知られ、公家と戦国大名との関わり合いなど大変興味深いものがある。また、その他にも何人かの医師が北条氏のもとを訪れるが、計画的に医師の招来を行っている様子がうかがわれるので、来年度も引き続き調査を行いたい。
|
Research Products
(1 results)