1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610386
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
友田 卓爾 広島大学, 総合科学部, 教授 (70034824)
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Keywords | イギリス革命 / ロンドン / 民衆 / 中(産)層 / ピューリタンとセクト / クラレンドン伯 / 請願運動 / 手工業者 |
Research Abstract |
昨年度は(1)イギリス革命勃発期にデモや請願行動によって歴史の表舞台に現れたロンドン民衆の動向を、同時代人クラレンドン伯の『反乱史』に基づいて考察した。(2)革命勃発期に王党軍に抵抗した地方民衆の政治行動を地方史研究に依拠して概観し、『イギリス革命期の軍隊召集委任における国王派領主のヘゲモニ-』として発表した。今年度は(1)内戦期のロンドン民衆の政治行動をクラレンドンの『反乱史』に基づいて考察した。(2)イギリス革命勃発期における民衆「中層」の役割を諸研究に依拠して概観し、『イギリス革命における内戦の勃発と民衆「中層」』として発表した。この論文の成果は以下の点である。 民衆「中層」("middle sort")は、基本的には農民と手工業者からなる独立小生産者であった。民衆「中層」の一部の人々は、議会の最も確固たる、最も急進的な支持者であり、ロンドン、バ-ミンガム、エセックス・サフォーク・ランカシャー・ヨ-クシャーなどの織物工業地域において決定的な役割を果たした。とりわけロンドンの手工業者は議会を支えたが、彼らだけでは戦争に勝てなかった。地方の民衆「中層」の支持が重要であった。1642年に多くの請願者が多数の州から首都にやってきたが、彼らはジェントリのリーダーの統制下にあり、コミュニティのタテの紐帯が民衆の行動を規定していた。しかし、これらの地域では、貴族やジェントリに対する敵意が認められた。ヨコの連帯と階級意識が、まだ限られてはいたが重要性をもつようになっていたのである。 ロンドンに絞り込んで民衆の視点から革命の全体像を構築することが本研究の目標であったが、「中層」研究の整理の必要性に気づき、これに時間をとったために、まとめるのが遅れた。今年の仕事は、(1)クラレンドン伯の見たロンドン民衆、(2)ロンドン民衆の請願行動(市当局への請願。市当局を通しての議会への請願。議会への直接の請願)、を付き併せて、「イギリス革命におけるロンドン民衆」についての年譜的小括をおこなうことである。
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Research Products
(2 results)