1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610399
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Paleological Association of Japan Inc. |
Principal Investigator |
坂井 聰 財団法人古代學協會, 古代学研究所, 講師 (20215586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅香 正 財団法人古代學協會, 古代学研究所, 教授 (70066059)
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Keywords | エトルスキ人 / ポンペイ遺跡・遺物 / カプア / リ-ウィウス / ギリシア植民活動 / ストラボン / ク-マエ沖海戦 |
Research Abstract |
研究代表者坂井は前5世紀の社会変動の代表例としてカンパニアにおけるエトルスキ勢力の後退期に研究の焦点を絞り,その時代の様相を,ポンペイ遺跡を中心に研究した。とりわけポンペイ遺跡において過去に行われた下層発掘調査のデータを収集検討し,前5世紀に入ると前6世紀のエトルスキ支配時代より,遺物が質・量ともに著しく減少する傾向を看取した。今後の研究課題としては,前6世紀における都市的隆盛の後,この遺物の減少が社会経済的観点から見た都市的生活の断絶を意味するのか,あるいは単なる政治的混乱に基づく比較的短期的な現象に過ぎないのかを,近隣の都市との比較で検討する必要がある。とりわけカンパニアの中心的都市であったカプアにおいては,この時期の史料が比較的よく残存しているので,リ-ウィウス等の文献史料を批判的に釈読した上,考古学的史料をそれに即して解釈する必要がある。 分担者浅香は文献史料を中心にして,イタリア半島へのギリシア植民活動の様相を研究した。とりわけ中心となる史料であるストラボンに着目し,植民活動と非ギリシア系の原住民の関係がどのように描かれているのかを考察した。特に前474年のク-マエ沖海戦の政治史的背景に関し,従来は軽視されていた非エトルスキ系イタリア人の関与に関して,一定の所見を得た。
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Research Products
(1 results)