1996 Fiscal Year Annual Research Report
18,19世紀英国における中世主義の復興と変容の研究
Project/Area Number |
07610476
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
不破 有理 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (60156982)
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Keywords | 中世復興 / ドルイド / William Stukeley / stonehenge / Thomas Hughes / Arthurian legends |
Research Abstract |
今年度は古代ブリトン人の宗教的指導者ドルイド僧が登場する作品を取り上げ、18世紀の時代思潮の変化の分析を目的としたが、その一貫として昨年12月の日本中世英語英文学会開催のシンポジウムで「中世復興とドルイド教」と題してまとめた。これは18世紀初頭に出版されたWilliam StukeleyによるStonehengeおよびAubryなどの著作を分析することによって、当時のブリテン島に散在した古代遺跡への関心が自国の古代宗教、文化を担うドルイド僧への関心といかに結び付いていくのかを論証しようとしたものである。18世紀に多く発表されるようになるドルイドを扱った英詩の分析も、CD-ROMに収められたデーターベースEnglish Poetry、およびDictionary of National BibiograpyのCD-ROM版を活用して行った。 また、時代的にはかなり遡るが16世紀末に発表されたThomas Hughesの作品を取り上げ、18世紀から19世紀への中世主義の変容を分析する上で興味深いアーサー王伝説の登場人物モードレッドに注目した。19世紀においてアーサー王伝説復興の際に論議となったモードレッドの出生の秘密、近親相姦というテーマを中心にHughesの作品において分析、投稿準備中である。またアーサー王伝説における紋章の意義を19世紀のアーサー王物語に至るまで簡潔に分析した。
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