1995 Fiscal Year Annual Research Report
英語冠詞との結合関係からみた英語前置詞の意味構造体系の研究
Project/Area Number |
07610486
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
織田 稔 関西大学, 文学部, 教授 (30030274)
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Keywords | 英語前置詞と名詞の冠詞形 / ユークリッド幾何学的次元認識 / line / surface / area / start / path / goal |
Research Abstract |
英語前置詞と,それが支配する名詞の冠詞形(φ-φ形,a-φ形,the-φ形)との間にみられる相互関連性から,各前置詞の意味素性を措定できるのではないかとの仮説のもと,AT,ON,INのそれぞれについてその素描を試み,場所前置詞に対する従来のユークリッド幾何学的意味分類の不充分さを指摘。すなわち,この分類では前置詞ONにline(1次元)とsurface(2次元)が,そしてINにもarea(2次元)とvolume(3次元)が割当られ,2次元場面の認識に競合が生ずる。またpointを示すとされるゼロ次元の前置詞ATについても,点的存在と無的存在の識別をめぐり問題が残る。場所と存在との相互交渉的なあり方にこそ,AT/ON/INの意味機能にみられる系列的対立的認識の基礎があると考えられる。(関西大学英語学研究会にて1995年7月2日発表) またG. Lakoff(1987)の前置詞OVER論をモデルに,同様の意味分析をTHROUGHについて試み,その意味素性が,area/volumeを抵抗存在とするINタイプの前置詞であること,すなわち,THROUGHがstartからgoalに向けてのpathを示すmovementの前置詞であることを明らかにし,本研究に向け確実な第一歩を踏み出すことができた。(共同研究サークル「自然言語理解」にて1996年1月31日発表) 次年度には,BY,WITHについて,またAT/ON/INについてさらに詳細な調査研究を継続していく予定である。
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