1995 Fiscal Year Annual Research Report
西洋法継受と近代日本の形成-ローレンツ・フォン・シュタインの資料的研究を通じて-
Project/Area Number |
07620003
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
宇都宮 純一 愛媛大学, 法文学部, 教授 (70151909)
|
Keywords | シュタイン遺文書 / 「渡辺廉吉文書」 / 明治憲法の制定 / 河島醇 |
Research Abstract |
平成7年度並びに8年度にわたる研究のうち、平成7年度は、先ずシュタイン遺文書(Lorenz von Stein Nachlass)をドイツ国シュレスウィヒ・ホルシュタイン州立図書館に依頼して送付してもらった。その内容は予め日本において入手していたAndrea Boockmannの手になる文献解題、Lorenz von Stein1815-1890(1980)に登載されている著作、論文、書簡の類とともに、そこには登載されていない未整理の文書も含まれており、シュタイン父子と当時の日本の各界の重要人物との交流の状況につき新たな知見が得られたところであり、現在それを調査、検討し、分類している途上にある。他方、欧文並びに和文の関係文献、研究論文の収集も行い、日本そして特にドイツ、オーストリアにおけるシュタイン研究の現状を調査し、独墺においても今なお高い関心が寄せられていることを確認した。また、その中で、曾て吉野作造博士が随想の中で言及しているL.v.シュタイン起草にかかる憲法草案(独語)、これは吉野博士によれば「渡辺廉吉文書」の中に在るとされていたが、東京大学明治新聞雑誌文庫を渉猟してみたものの見出すことができなかったところ、ウィーン大学のBrauneder教授ほかの編著になる研究書(独語)にそれと思しきものが見出されるので、その検証も行っていく予定である。以上のような作業を通じてシュタインが日本の明治憲法の制定のみならず、広く分野にわたって日本の指導層に大きな影響を行使した実態が浮き彫りにされるものと期待される。
|