1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07630088
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
根津 永二 名古屋市立大学, 経済学部, 教授 (10080235)
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Keywords | 地域経済 / 地域間格差 / 変動係数 / 主成分要因分析 / 貨幣行列乗数 / ブラウワ-・ソロ-の条件 |
Research Abstract |
[1]金融機関の実証分析では、(1)まず,金融変数と所得変数の地域間格差についての実証分析を行った。実証分析のためのデータは、1970-1991年までの22年間の地域別,金融機関別の預金、店舗、貸付等の金融変数および地域別の県内純生産、人口、有効求人倍率等の実物的な変数のデータである。それらの変数によって地域間格差を分析するために、変動係数とジニ-係数を算出し,地域別、金融機関別の分布の平等度(あるいは偏り)をローレンツ曲線で示している。それによると、郵便貯金、純生産、全国銀行預金、全国銀行の順に地域間の偏りが少ないことがしめされた。(2)つぎに、これらの変数の変動係数に主成分要因分析を適用して、それらの第一主成分および第二主成分を算出した。7つの変数の変動係数の約50.9%および36%が第一および第二主成分によって説明される。さらに、おれらの主成分と公定歩合等の金利変数や名目成長率、国内需要等との関係を分析して、地域間格差はどのような変数で説明できるかを分析した。これらの分析結果は「所得および金融変数の地域間格差の要因分析」(名古屋市立大学経済学部Discussion Paper No [196], 1996 4)にまとめてある。 [2]理論モデルでは、地域間資金移動を銀行行動との関係で分析している。まず、行列乗数の考え方を用いて地域間の資金移動を説明している。このモデルでは、余剰準備を元とする非負行列を考え、この行列がブラウワ-・ソロ-の条件を充たす場合(すなわち、行または列の合計が1よりも小さい場合)には、地域間資金移動は行列乗数を媒介に行われること、さらに、都市銀行と地方銀行間の資金移動を、銀行の利潤最大化行動を通して、コール市場で行われることを示している。
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Research Products
(2 results)