1995 Fiscal Year Annual Research Report
日本のベンチャービジネスの生成・成長と相互学習活動
Project/Area Number |
07630105
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 猛 名古屋大学, 経済学部, 助教授 (00200999)
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Keywords | ベンチャービジネス / 組織学習 / 起業者学習 / 企業成長 / 創業支援 |
Research Abstract |
研究実施計画の通り,組織学習に関する文献収集と分析を行い,概ね終了した.その結果,起業者の学習モデルは,起業者とそれを取り囲む関係者の間の「相互的社会学習」であり,また同時に,不確実な状況下における「実験的・経験的学習」であることを確認することができた. この下で,まず起業者の学習活動に最も影響を及ぼすと思われる「創業支援講習」の実施者の状況を調査することにした.というのは,今までは創業というの創業者の全くの個人的な経験的学習を基礎にして,行われてきたと考えられてきたからである.これを文書化,あるいは明示化して伝達することが可能となれば,少くとも,部分的ではあるが,創業志望者の知識不足による失敗は減少すると考えられる.そこで,創業支援講習の実施者に対して,どのような内容の講習を,誰が中心となって,どのような人々に対して実行されているかを知るために,アンケート調査を実施した.結果は現在分析中である. ベンチャービジネスは,多種多様に定義されているが,本研究では,学習理論の立場から,「不確実な状況下で,新たな知識を生み出そうとしている人が行う経営活動がベンチャービジネスである」という定義を採用した.なぜなら,この定義によれば,学習の理論の研究が直接的にベンチャー活動と関連を持つことになるからである. 以上のように,知識の伝達者である創業支援講習の実施者の調査と,新たなベンチャービジネスの定義を踏まえて,来期は「ベンチャー経営者の学習活動」という観点から実施調査を行う.これらの実施調査とともに文献調査をも同時に進行させながら,起業者学習および起業者活動の理論を確立していきたい.
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