1997 Fiscal Year Annual Research Report
EU問題と西ヨーロッパ多国籍企業のリストラクチェアリング
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07630113
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
前川 恭一 同志社大学, 商学部, 教授 (20066145)
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Keywords | 日独比較企業論 / 貿易条件の違い / 労働運動の歴史的背景 / 日本の合理化の特徴 / 共同決定制度 / カンバン方式 / 日本的労使関係 / 社会保障の枠組み |
Research Abstract |
拙著,『日独比較企業論への道』(森山書店1997年)では、これまでの科研費による諸論文とともに、今年度はとくに、序章と結章部分が科研費によって書かれた。 第1の問題は、ドイツはもともと内陸国であり、9つの国にかこまれており、EECからECをへてEUに至る今日までの時期に、西ヨーロッパ統合への加盟国も6カ国から15カ国に拡大しており、その意味では日本と比べて貿易条件に恵まれており、西ヨーロッパ内での貿易が、大きな比重を占めている。これに対して日本は島国であり、周辺に高度に発達した資本主義国はなく、その結果アメリカとの貿易に大きく依存するようになっている。 第2の問題は、労働運動の歴史的背景の違いである。ドイツの労働運動は1918年の11月革命およびその後のワイマ-ル共和国(ブルジョア民主主義共和国)の時代に、労働運動本来の豊かな経験をすでに持っており、「経営協議会法」の制定(1920年)にみられるように、不十分ではあるが、労働者の経営参加への道を開くなど、民主的萌芽と見られるような数多くの取り組みがみられたが、日本では、プロイセン憲法(1850年)を参考にしたといわれる明治憲法のもとで、絶対主義的天皇制が国家体制の支柱とされ、労働運動が抑え込まれた。この違いが今日の労働運動の違いとなっている。 第3の問題は、日本的合理化の特徴である。その特徴としては、第1に「際限なき合理化」、第2に日本的経営の構成要素の解体、第3に国民経済破綻の危機的諸様相が考えられ、これはヨーロッパよりも深刻である。
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Research Products
(1 results)