1996 Fiscal Year Annual Research Report
林野水産業における資源・環境保全的経営・会計方法とコスト・ベネフィト分析の研究
Project/Area Number |
07630130
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
山口 孝 明治大学, 商学部, 教授 (30061782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 由二 (財)政治経済研究所, 主任研究員
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Keywords | 森林環境の保持 / 林野水産業の停滞 / 総資本経常利益率のマイナス / コスト・ベネフィト分析 / ヘドニック価格法 / 擬制市場評価法 / 旅行評価法 |
Research Abstract |
林野水産業は海洋ならびに森林環境を保全維持し、適正な収穫(漁獲・伐採)をすることによって成立する。しかし、漁業による200海里規制と海外からの水産物輸入、林業における低下価格の外材輸入ならびに、日本の従業員の賃金の上昇等によって、収益性が低下し、採算点に達しないため、企業的にはきわめて停滞的であり、日本の高度成長をささえる自動車、家庭電器、半導体、化学等の諸企業など環境への負荷の多い産業の繁栄と対照的となっている。 総資本経常利益率は企業の収益力の総合指標として重要であるが、農林水産業の総資本経常利益率は1992年度以来マイナスを続けている。とりわけ水産業のマイナスは大きい。林業においては民有林は辛うじて黒字経営を維持しているが、日本の森林の大きな部分をなす国有林野事業の損失は毎年1千億円をこえている。本研究では、林野水産業の収益、財政状態を一般産業と比較・検討をおこない、収益力低下の原因分析をおこなった。 しかし、林野水産業は、地球規模の生態系を保持し、自然環境を維持するために、多様・多面的なベネフィトを与え、環境への負荷(コスト)はほとんどない。しかし、こうしたベネフィトは市場経済での交換価値をもたないために、これを推定計算し、評価する以外ない。 本研究では林野水産業にもっとも適したコスト・ベネフィト分析についてヘドニック価格法、擬制市場評価法、旅行評価法等の分析手法について、検討した。うちヘドニック法による分析手法によれば国有林野の純ベネフィットは7兆5千億円に達するという試算をおこなった。現在水産業についても、同様な手法で分析をおこなっている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山口孝: "公害・環境破壊と労働運動" 労働総研ニュース. 1997年1月号. 2-5 (1997)
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[Publications] 山口由二: "漁業協同組合経営の現状分析" 政経研究. 68. 130-145 (1997)
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[Publications] 山口孝: "21世紀型企業の環境保全戦略(共著)" 小曜社, 300 (1996)