1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640372
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
上柿 英二 秋田大学, 教育学部, 教授 (10113888)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 恭久 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (80000868)
|
Keywords | 重イオン / 共鳴 / 高励起 / 高スピン状態 / 崩壊幅 / スピンアラインメント / ディスアラインメント / 規準振動モード |
Research Abstract |
本研究は、^<24>Mg+^<24>Mgなどの比較的重い重イオン衝突で高エネルギー領域に観測されている幅の狭い高励起、高スピン共鳴状態の構造と反応機構について、二原子核分子の形成とそれに伴う振動モード励起を考える立場から動力学的に解明しようとするものである。本課題の開始当初には、実験データが乏しく^<24>Mg+^<24>Mgの励起関数とスピンアラインメントに関するものが主なデータであったが、ストラスブールで実施された^<28>Si+^<28>Siの「粒子粒子ガンマ線相関実験」の「結果が8年度末にもたらされた。その角分布は"スピンディスアラインメント"を示しており、従来の核反応の常識を打ち破るものであった。この実験データをもとに^<28>Si+^<28>Si系と^<24>Mg+^<24>Mg系のスピンアラインメントの比較を行って、以下の事を解明した。 1.バタフライモードでは構成核の接触部がコヒーレントに動くので振動運動からもたらされるスピンベクトルの向きが互いに逆になり、その和はゼロになる。一方、アンチバタフライモードではスピンベクトルの向きが揃って、チャンネルスピンは最大となる。すなわち、低エネルギーで現れるバタフライモードによって、ディスアラインメントを説明できる。 2.^<28>Si+^<28>Si系の安定配位は非軸対称なので、超高スピンでは慣性モーメントが最大となる軸の回りに全体が回転する事がわかった。従って、重い重イオン反応におけるティルチングモードの発現という新しい現象を見出す可能性が開けている。更にこの時、^<28>Siのスピンベクトルは反応平面上にあるので、"m=0"成分が強いと言う特徴を持つ。ガンマ線角分布のデータはこの特徴と良く一致していてティルチングモードの証拠となると共に、反応中のフラグメントの運動を分析する新しい分光学の可能性を示している。
|
Research Products
(1 results)