1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640509
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Research Institution | Yamanashi University |
Principal Investigator |
豊木 博泰 山梨大学, 教育学部, 助教授 (40172209)
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Keywords | ネマチック液晶 / 秩序形成過程 / 複合的境界条件 / 液晶薄膜 |
Research Abstract |
ネマチック液晶薄膜において,上面ではダイレクターが面に垂直,下面では平行であるような複合的境界条件をもつ系におけるマクロパターンの形成を数値的に研究した.この系では,バルクの問題を扱う際には無視されてきた「表面項」(系の表面積分に帰着される項)が重要な役割を果たす.これまで用いてきたモデルは,弾性定数に等方近似を施したものであったが,本年度の研究では,あらたに弾性定数の異方性をとりいれ,かつ,液晶ダイレクタに対する境界条件を容易に変えられるセル動力学モデルを考案した。出発点としては,フランク自由エネルギーとTDGL方程式を考えるのであるが,離散化モデルの構成にあたっては,それをエネルギー表現において行なうのではなく,運動方程式においておこなう点が新しい着想である。 表面項,特にK_<24>項とバルクの弾性定数とのかねあいにより,周期的なパターンが成長する.たとえば,厚み4層,典型的なバルク弾性定数(K_1-K_3)/K_3=-0.5の系でK_<13>/K_3を固定してK_<24>を動かすとK_<24>/K_3=0.35以上で周期的なパターンが表れ,K_<24>の増大とともに周期は短くなる.パターンは,この系特有の表面欠陥であるboojumが配列した構造となっている.K_<24>の小さい(実験的な意味では厚みをかえることにも相当)ときには,その大きさはboojumの核を広げる効果をもつ. ダイレクターが一様にそろうバルク系の秩序形成過程と違い本研究の対象のような周期的パターンが現れる系では格子の異方性の影響が大きく,その影響を解消するためには表面項の離散化において第2近接相互作用も考慮に入れなければいけないということもわかった.
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