1996 Fiscal Year Annual Research Report
駿河トラフ深層への内部潮汐波エネルギーの収束に関する研究
Project/Area Number |
07640570
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Research Institution | Tokyo University of Fisheries |
Principal Investigator |
松山 優治 東京水産大学, 水産学部, 教授 (00092594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比谷 紀之 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (80192714)
北出 裕二郎 東京水産大学, 水産学部, 助手 (50281001)
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Keywords | 内部潮汐波 / 内部波エネルギー / ビーム状構造 / 駿河トラフ / 伊豆海嶺 / 内部ケルビン波 / レベルモデル / ADCP |
Research Abstract |
駿河トラフ深層へ運ばれる内部潮汐エネルギーについて観測と数値実験を通して、その構造と力学を明らかにすることを試みた。1996年7月下旬に駿河湾奥部の内浦湾口の陸棚端で、10月中旬には伊豆海嶺周辺でADCP観測を実施した。駿河湾奥部ではADCPにより、海底傾斜の大きい測線に沿った往復観測を合計30回行い、潮汐周期成分の卓越、内部波エネルギーのビーム状構造とトラフ深層に向かう鉛直ななめ構造を確認した。伊豆海嶺上では水温計とADCPを係留しながら、曳航式ADCPによる横断観測を実施した。係留系のデータのうち水温観測記録を解析した結果、底層に海底補足波として日周期の内部波が、その上に半日周期の内部波が顕著であった。特筆すべきは、高調波である1/4日、1/3日周期成分が卓越し、エネルギーレヴェルとしては一日、半日周期成分に匹敵するほど高いものであった。また、曳航式ADCPからは内部潮汐による流速は斜め伝播する様子が伺えた。数値実験は三次元レベルモデルにより、伊豆海嶺北部域で発生した内部潮汐波が駿河トラフ深層に斜め伝播する過程を追跡した。数値実験は駿河湾口から伊豆海嶺北部域をモデルとして、海嶺の浅瀬で内部波を発生させたところ非常に強い内部潮汐が駿河湾内に内部ケルビン波の性質を持って伝播する事が示された。内部波の海嶺上での効果的な発生により増幅され、強い潮流が深海にまで達することが確認された。これらは二層モデル結果を支持する事はもちろん、二層モデルでは明らかに出来なかった深層流速の定量的な議論が可能になった。
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[Publications] Y.Kitade and M.Matsuyama: "Characteristics of internal tides in the upper layer of Sagami Bay" Journal of Oceanography. 53. 143-159 (1997)
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[Publications] M.Matsuyama,S.Iwata and H.Nagamatsu: "Kyucho in Sagami Bay induced by Typhoon 8818" Journal of Oceanography. 53. 199-205 (1997)
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[Publications] M.Matsuyama,T.Senjyu and N.N.Natih: "Oceanographic Conditions in Pelabuhanratu Bay,west Java" La mer. 34. 285-294 (1997)
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[Publications] 北出裕二郎・松山優治ほか: "台風の通過に伴う相模湾の水温・流速変動" 沿岸海洋研究. 33. 191-202 (1996)
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[Publications] T.Hibiya et al.: "Direct Numerical Simulation of the Rolloff Range of Internal Wave Shear Spectra in the Ocean" J.G.R.101. 14123-14129 (1996)
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[Publications] 丹羽淑博・日比谷紀之: "海洋内部波の非線形相互作用による乱流スケールへのエネルギーカスケードアップ過程の数値実験" 京都大学数理解析研究所講究録. 949. 254-263 (1996)