1997 Fiscal Year Annual Research Report
人工衛星の海面高度データによる太平洋の季節変化と年々の研究
Project/Area Number |
07640578
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
和方 吉伸 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (90201871)
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Keywords | 人工衛星 / TOPEX / POSEIDON / 海面高度 / ケルピン波 / ロスビー波 / 季節内振動 |
Research Abstract |
本研究ではTOPEX/POSEIDON衛星の海面高度データを利用し、太平洋に於ける波動の伝播特性について研究を行った。赤道域では東進するケルビン波を、中緯度では西進する傾圧ロスビー波を検出することができた。また、簡略な逓減重力モデルや2層モデルを用いて数値シミュレーションを行い、衛星観測との比較を行った。大規模スケールの波動の生成はモデルでも再現でき、即ち風応力の直接的な応答として説明可能であるが、細部に関しては多くの不一致点も存在する。しかし、簡略モデルに於ける波動生成に欠落している過程を研究すれば、何がロスビー波の生成に重要であるかを見つけだす鍵を与えるものと考える。 赤道域では、季節内変動と呼ばれる40〜50日の風の変動による海洋の応答を、高分解能な海洋大循環モデルを用い数値シミュレーションを行った。そして、海洋ケルビン波の3次元構造を明らかにした。従来の理論計算の結果とは異なり、背景場の空間的な構造の変化により、波動の温度構造は赤道を挟み二つのピークが存在し、また速度は上下に2段構造をしていることがわかった。また、海洋ケルビン波の伝播速度は、従来の研究では、海洋を鉛直方向にモード展開したときの第一モードの固有値として理解されていた。しかし、季節内変動などのように短い時間スケールの応答は、モードとしてではなく海面と温度躍層の間に捕捉された波動として理解できることを提案した。このことを、無限に深い海(下部境界条件に放射境界条件を採用)に於いて、海面から波動を励起すると、強制の移動速度が観測で得られる波動の位相速度に一致すると、共鳴的な応答を示すことから説明を行った。また、下方に漏れるエネルギー量を計算することにより、ケルビン波の減衰時間を導出した。
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