1995 Fiscal Year Annual Research Report
テトラチオテトラチアフルバレンによる分子造形一環状単、および二量体の合成
Project/Area Number |
07640706
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
川田 勇三 茨城大学, 理学部, 教授 (10152969)
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Keywords | ツインドナー / シクロファン / テトラチアフルバレン / テトラチオテトラチアフルバレン / 高歪み化合物 / X線構造解析 / 酸化還元電位 / 環化反応 |
Research Abstract |
本研究で合成を目指したのは、テトラチオテトラチアフルバレン骨格を持つ3つの型のシクロファン1〜3(番号は計画調書通り)である。 テトラチオテトラチアフルバレン骨格1個を含む2架橋環状体1(メチレン数3)は、代替ルートを開発したが、当初のルートに勝るものではなかった。当初ルートは対応するジチオンから5段階、総収率10%以上に改善された。最も歪んだテトラチアフルバレンとして、現在そのX線構造解析が進行中である。 テトラチオテトラチアフルバレン骨格2個を持つ交差型の4架橋体では、メチレン数2、および3(3a、b)の合成に成功した。最終段階で中央2重結合、あるいは側鎖炭素-硫黄結合の生成を行なう、併せて4つのルートを開発した。このうち、対応する大環状ケトントリチオンから亜リン酸トリエチルにより中央2重結合2個を生成させるルートが、大量合成には最も適した方法であった。3a、bのX線構造解析が終了した。3aは光度に歪んだ化合物であり、その歪みは、酸化電位、NMR化学シフト等にもはっきりと反映されていた。3bについては陽極酸化によりいくつかの塩が得られており、その物性の解明が進行している。 テトラチオテトラチアフルバレン骨格2個を持つ平行型の4架橋体2は、調書で提案した以外にも、様々な方法でその合成を試みたが、未だ成功していない。それらの結果を総合的に考えると、i単純なメチレン鎖で結ぶ場合、優位立体配座の関係で、大環状体を形成する最後のステップが非常に不利になっている、iiテトラチオテトラチアフルバレンが接近する場合、交差型に近付く方が有利である、ことなどが主な理由と考えている。その合成には引続き努力している。
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