1995 Fiscal Year Annual Research Report
糖類の環内酸素原子の効果(5a-カルバニトロオレフィン糖の合成と反応を中心に)
Project/Area Number |
07640727
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
榊原 徹 横浜市立大学, 理学部, 教授 (20016166)
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Keywords | 疑似ニトロ糖 / グリカ-ル誘導体の平衡 / メトキシマ-キュレイション / 脱グリコシル化反応 / 環内酸素原子 |
Research Abstract |
本研究では糖類の環内酸素原子の効果を明らかにする一環として、5a-カルバニトロオレフィン糖の合成ならびにC1-O1とC1-O5結合の切れやすさに及ぼす1位置換基の効果を調べることを目的としている。 1.1-アセトキシ-1、3-ブタジェンとアクロレインによるDiels-Alder反応により簡便かつ多量に5a-カルバニトロオレフィン糖を合成する経路を確立した。この方法により、副生成物であるスレオ型の5a-カルバニトロオレフィン糖を単離することが出来た。しかし二重結合のC2からC1位への転位ではNefの反応が起こり、目的とするギュラールは得られずエノンを与えた。他方、エリスロ型のニトロ糖からは3-ニトローグルカ-ルとアラールを得ることが出来た。 2.これらの5a-カルバ糖ならびに対応するニトロ糖のメトキシマ-キュレイションを検討したところ、ニトロ基のみならず4位の酸素原子の立体配置が立体選択性に大きく関与していることが判明した。特に5a-グルカ-ルでは単一の付加体を与えるのに対し、対応するニトログルカ-ルでは立体選択性が極めて低いことは注目に値する。しかし5a-アラールでは反応性が悪く、反応に伴い生じた酢酸のために保護基がはずれたためか生成物が低収率でしか得られていない。 3.溶媒を含む分子軌道法計算(ab initio:6-31G^*レベル)による生成熱とグリカ-ル誘導体の平衡比は良く一致した。さらに計算から予測されたようにスレオ型のニトロオレフィン糖からは、ギュラールのみが得られることが明らかになった。 4.メチル3-ヒドロキシメチル-2-p-トリルスルホニルピラノシドをナトリウムメトキシド存在下メタノール中で長時間加熱するとほぼ定量的に環の巻き直しが起こった5員環生成物が得られるが、数時間の反応では単に糖の1位の異性化が起こるととを既に見い出している。しかし同じ条件でエタノール中ナトリウムエトキシドを加え数時間加熱しただけで、対応する5員環生成物が得られることを明らかにすることができた。反応そのものがかなり複雑であるために、解析はまだ十分ではないが、1位のエトキシ基はメトキシ基よりも脱離能は低いことは言える。
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