1995 Fiscal Year Annual Research Report
クリプトファンの合成とアキラルおよびキラル分子に対する分子認識
Project/Area Number |
07640779
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
赤堀 禎利 東邦大学, 理学部, 教授 (40057534)
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Keywords | クリプトファン / ホストーゲスト / アルカリ金属イオン / アルキルアンモニウムイオン / 熱力学パラメーター / 包接 |
Research Abstract |
本年度はジエチレンオキシ架橋クリプトファンのシンおとびアンチ体を合成し、^1H-NMRを用いた各種アンモニウムカチオンに対するホスト分子としての機能を研究し、以下の知見を得た。 各種アンモニウムカチオンに対する包接能(210K)を検討し次の結果が得られた。210Kにおけるn-Pr_3EtN^+,Et_4N^+,Et_3MeN^+,Et_3NH^+,EtMe_3N^+およびMe_4N^+に対するシン体およびアンチ体の包接におけるΔG(Kcal/mol)値は各々、2.07,3.06,3.04,2.89,2.95および1.80,2.87,2.73,2.72,2.72、2.84であつた。 また、シン体およびアンチ体いずれも1級および2級アンモニウムカチオンに対しては包接能が認められないのに対し、3級、4級アンモニウムカチオンに対しては包接が認められたことから、クリプトファンの内部空孔に対する球状アンモニウムカチオンへの選択性が見いだされた。シンおよびアンチ体の包接能はほぼ同様の傾向であり、Et_4N^+カチオンに対し最も高い包接能を示し、それより小さくなるに従い包接能は低下したが、Me_4N^+カチオンでは再び高くなる。これはMe_4N^+が対称性のよい球形になると思われる。一方、アンチ体の包接能がシン体に比べ全体的に小さいのは、アンチ体における窓の歪みがシン体のそれに比べゲストカチオンを取り込みにくくしていると考えられる。ホスト分子の内部空孔よりも大きいn-Pr_3EtN^+に対する包接能は急激に減少したが、それ以下のサイズのカチオンに対しては、包接能にわずかな違いしか認められなかつた。これは架橋鎖がねじれることにより、ホスト分子がゲストカチオンのサイズに合わせて自らその構造を変化させ、小さいカチオンにも適合するようになるためと考えられる。
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Research Products
(1 results)