1996 Fiscal Year Annual Research Report
クリプトファンの合成とアキラルおよびキラル分子に対する分子認識
Project/Area Number |
07640779
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
赤堀 禎利 東邦大学, 理学部, 教授 (40057534)
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Keywords | クリプトファン / ホストーゲスト / アルカン / 熱力学パラメーター / 包接 / アルキルアンモニウムイオン / アルカリ金属カチオン |
Research Abstract |
本年度は昨年度の成果を引き継ぎ、5種類のキシレン架橋クリプトファン(シンおよびアンチ体)を合成し、^1H-NMRを用いた各種アンモニウムイオンと炭素数6〜8のアルカンの異性体に対するホスト分子としての包接能および包接時における熱力学的パラメータ(ギブスの自由エネルギー、エンタルピー、およびエントロピー)を検討し、以下の知見をえた。 キシレン架橋クリプトファンのアンモニウムイオンに対する包接能は昨年度に研究したジエチレン架橋クリプトファンと比較すると、4級アンモニウムイオンにのみに選択的包接能をもつこと、およびそれらのゲスト分子のなかでもホスト分子の空孔経により適合性の高いものに対し包接能が大きいことが明らかとなつた。これはゲスト分子を包接するときホスト分子の架橋部がより固定されているため、その空孔の大きさが変化できないことと架橋部にジエチレン架橋クリプトファンには存在したゲストイオンに対し強い相互作用をもつ酸素原子が存在しないことに起因していると考えられる。次いでジエチレン-およびキシレン架橋クリプトファンのアルカンに対する包接能を検討したところ、後者は前者と比較し、より高い選択的包接能を示すこと、シン体はアンチ体よりもより高い包接能を示すとと同時にアルカンの大きさと形状による分子認識能が増大することを見い出した。これらの結果は、それらの沸点や融点などが非常に接近しているため、その分離が困難な同数の炭素をもつアルカン異性体や炭素数の非常に近いアルカン異性体の分離法として重要な発展が期待される。
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Research Products
(1 results)