1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640829
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東 正剛 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (90133777)
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Keywords | アリ / 精子間競争 / 一回交尾 / CAP-PCR / ハミルトン / 巣分かれ / 社会性昆虫 |
Research Abstract |
3年計画の初年度に当たる平成7年度は、備品として高性能の生物顕微鏡を購入するとともに、北大大学院地球環境科学研究科に既に設置されている電子顕微鏡やDNA分析機器を用いて、今後の研究に必要な手法の確立に努めた。まず、女王の交尾回数推定法を探るためにCAP-PCR法を用いてカドフシアリ女王の交尾回数を推定したところ、用いた8つのプライマー全てで変異が見られ、特に変異の大きいPr.5により一回交尾を確認できた。これほど明瞭に1回交尾を証明できた例は少なくともアリでは初めてであるとともに、巣分かれによってコロニーを創設する社会性昆虫の性比に関するハミルトン説を証明する知見も得られたので、2編の論文としてEvolutionおよびNa.Turwissenscahftenに投稿した。このCAP-PCR法は他のアリ類に対してもかなり有効と思われる。また、精子形態の系統間差を大まかに把握するため、エゾアカヤマアリ、クロヤマアリ(ヤマアリ亜科)、シワクシケアリ、カドフシアリ、ムカシキノコアリ(フタフシアリ亜科)、ヒメハリアリ、Rhyt indoponera aurata(ハリアリ亜科)などの女王を採集し、受精のう内の精子を予備的に観察したところ、系統間で多少の違いのあることが示唆された。しかし、系統関係を論じるにはさらに種数、属数、亜科数を増やしていく必要がある。また、受精のうの形態も系統によって多少異なり、特にフタフシアリ亜科では属間でもかなり多様であることが示唆された。これは雌の多数回交尾や精子間競争とも関係している可能性があり、精子の形態記載とともに受精のうの形態記載も今後進めていく必要があるように思われる。
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