1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640895
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水波 誠 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (30174030)
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Keywords | 昆虫 / キノコ体 / 情報処理 / 運動制御 / ワイヤ電極 |
Research Abstract |
本研究の目的は行動生理学的および形態学的な手法を併用してゴキブリのキノコ体による高次運動制御の機構の解明を進めることである。平成7年度には、ワモンゴキブリのキノコ体に直径14-20μmのポリウレタン被覆銅線を埋め込み、自由行動中のキノコ体のニューロンの活動を慢性記録した。キノコ体の入力部である傘のニューロンの大多数は感覚性であり、視覚、嗅覚、または機械覚(触覚または気流感覚)刺激に反応した。また体や脚、触覚、首などの自己受容器からの入力を受け、自身の行動をモニターしていると思われるニューロンもあった。一方、キノコ体の出力部である葉部や柄葉接合部のニューロンは感覚刺激時および運動時の活動から4つのタイプに分けられた。第1のタイプは視覚、嗅覚、または機械覚刺激(気流および接触刺激)やその組み合わせに反応する感覚性のニューロンであった。第2のタイプは前方への歩行時やターンの際に活動する運動体のニューロンであった。第3のタイプは感覚刺激時にも行動時にも活動する感覚-運動統合型のニューロンであった。第4のタイプは歩行中および歩行の開始に先行して発火するニューロンで、運動の開始や組み立てに関与すると考えられた。 歩行運動の諸側面に関連した種々のニューロンがキノコ体の出力部に存在することを明らかにした今回の発見は、キノコ体が定位運動の高次制御にかかわることを強く示唆しており、これらのニューロンのさらに詳しい解析がキノコ体による空間航行の機構を解明する突破口となると期待できる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] M.Mizunami: "Activities of neurons in the B-lobe of the mushroom body of freely moving cockroaches" Zoological Science. 12. S118- (1995)
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[Publications] R.Okada,M.Mizunami: "Activities of neurons in the lunction area of the mushroom body of freely moving cockroaches" Zoological Science. 12. S118- (1995)
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[Publications] M.Mizunami: "Information processing in an insect ocellar system" 比較生理生化学. 12. 350- (1995)
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[Publications] R.Okada,M.Mizunami: "Activities of neurons in the mushroom body of freely moving cockroaches" 比較生理生化学. 12. 323- (1995)
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[Publications] M.Mizunami: "Neuval organization of ocellar pathways in the cockroach brain" J.Comp.Neurol.352. 458-468 (1995)
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[Publications] M.Mizunami: "Morphology of higher-order ocellar interneurons in the cockroach brain" J.Comp.Neurol.362. 293-304 (1995)
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[Publications] 水波 誠,他12名: "昆虫の脳を探る" 共立出版, 280 (1995)
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[Publications] 水波 誠,他51名: "脳から心へ-高次機能の解明に挑む" 岩波書店, 376 (1995)