1997 Fiscal Year Annual Research Report
羽毛を試料としたミトコンドリアDNA解析法による鳥類の系統分類学的研究
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07640946
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Research Institution | Yamashina Institute for Ornithology |
Principal Investigator |
柿澤 亮三 財団法人山階鳥類研究所, 研究部, 主任研究員 (90099995)
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Keywords | 鳥類系統分類学 / ミトコンドリアDNA / PCR法 / 羽毛 |
Research Abstract |
1、鳥類の羽毛を試料に用いてDNAの抽出を行い、得られたDNAをPCR法によりミトコンドリアDNAの特定部位を増幅し、遺伝的解析を行なって鳥類の系統関係を再検討するのが本研究の目的である。 2、羽毛を試料に用いる利点は、試料を採取する際、鳥に負担をかけることが少なく、かつ古い標本からもDNA抽出できる点である。したがって、希少鳥類や絶滅鳥の系統関係を遺伝的に解析することが可能になる。 3、本研究は、平成7年度から9年度までの3年間の継続研究として行なった。初年度は、ニワトリの生体を試料として予備的実験を行い、羽毛、肝臓、筋肉、血液からDNA抽出の比較実験を行なった。その結果、肝臓、筋肉、血液からは多量のDNA抽出ができた。羽毛からのDNA抽出は、量が少ないだけでなく、抽出に失敗するサンプルも20%ほどあり、抽出技術の改良が必要となった。 4、次年度は、生体から得たニワトリの羽毛からほぼ100%DNA抽出が行えるよう実験法を改善した。同時に、他の鳥類の新しい羽毛からのDNA抽出も行なった。次に、5年〜10年ほど前に作った標本の羽毛からDNA抽出を試みたが、実験に使えるほど大きな分子のDNA抽出がなかなかできないという結果になった。羽毛から抽出したDNAをPCR法により、ミトコンドリアDNAチトクロームb領域と12S領域の増幅を行なった。 5、羽毛から抽出したDNAを試料としてニワトリ、メジロのミトコンドリアDNAのチトクロームb領域を制限酵素で切断し、DNAの塩基配列を明らかにして、種内の系統関係を調査した。また、ツル類、サギ類のミトコンドリアDNA12S領域塩基配列を明らかにし、両グループの系統関係の解析をおこなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kakizawa,R.: "Genetic divergence and evolutionary relationship of the Old and world Emberizidae" Zoological Science. 12. 71-77 (1995)
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[Publications] 柿澤亮三: "ミトコンドリアDNAの変異から見たカグ-の系統分類" カグ-研究会報告. 1. 37-41 (1996)