1995 Fiscal Year Annual Research Report
落橋防止装置の衝撃応答特性および設計法に関する研究
Project/Area Number |
07650550
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
長嶋 文雄 東京都立大学, 工学部・土木工学科, 助教授 (90094276)
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Keywords | 落橋防止装置 / 3次元衝撃応答解析 / 耐震設計 / エネルギー吸収機構 / 衝撃係数 / フラクチャー |
Research Abstract |
本年度(平成7年度)は2ヵ年計画の初年度である。阪神・淡路大震災の被害調査で本年度の前半は忙殺されてしまったが、骨組み構造系の動的解析ソフトDYNA2Eと衝撃問題解析ソフトLS/DYNAのインストールと解析環境の整備は予定通りに済ませた、またメモリを増設して解析の高速化を行い、初年度計画の必要条件は満足させた。後半は地盤-基礎-構造物連成系の動的応答解析を行って落橋防止構造相互の効果について基礎的な検討を行う予定であったが、思いもかけず起こった先の大震災により、シミュレーション解析だけでは得難い貴重な資料が得られた。 すなわち、阪神・淡路大震災クラスの地震では、可動支承部の移動制限装置は初期の段階で破壊され、次に橋脚が健全であれば落橋防止装置に水平力が加わる。このとき水平力が設計力を上回れば落橋防止装置のピンが破断したり、溶接による定着部が破断したりす。しかし、桁の掛け違い長さが確保されていれば落橋は防げるが、既設橋に桁の掛け違い長さを補修した場合でも、強度が不足するときには落橋い至ることなどの知見が得られた。また、落橋に至る主な原因は橋脚の損傷を伴うものとしては、地盤の側法流動による橋脚の移動、あるいは基礎の崩壊に起因する橋脚の傾斜などがあり、さらに、異なった固有周期を有し、地震応答の位相が異なる隣接橋桁の相対的な動きにより片方の桁が橋脚天端から押し出され、落橋防止装置が破断して落橋する場合もあることが判った。 いずれにしても橋桁が橋脚天端から外れて落下する場合があることを考えて落橋防止装置を設計しなければならないことを今回の地震が示してくれた。当初は地盤-基礎-構造物連成系の動的応答解析を行ってこれらについて検討する予定であったが、実構造物の実際の被害をつぶさに観察することができたので、この点については今後それほど時間を費やす必要性を感じていない。 後半は、橋桁が橋脚から逸脱する最悪の状態を想定した落橋防止装置の衝撃問題についてプロトライプモデルを用いた例題解析を行った。また、フラクチャー(破断)現象を伴う非線形衝撃解析を行い、実験結果と比較することにより、モデル化に際して用いるべき適切なパラメータの値について検討した。 今後、さらに落橋防止装置の衝撃応答解析を行い、その設計のための基礎資料を得る予定である。また、免震橋における落橋防止装置の在り方などについても検討したいと思っている。
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[Publications] 長嶋文雄・望月利男: "阪神・淡路大震災における交通系の被害と復旧" 総合都市研究. 第57号. 55-71 (1995)
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[Publications] 長嶋文雄・内田光彦 他: "鋼製橋脚を有する免震橋の動特性に関する研究" 土木学会第50回年次学術講演会概要集. I-B. 1570-1571 (1995)
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[Publications] 長嶋文雄・竹ノ内勇 他: "鋼製橋脚橋の免震化に関する一考察" 土木学会第50回年次学術講演会概要集. I-B. 1572-1573 (1995)