1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650864
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長坂 徹也 東北大学, 工学部, 助教授 (30180467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 光兀 東北大学, 工学部, 教授 (10091729)
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Keywords | phase diagram / Fe-Cu alloy / Thermodynamic assessment / Fe-Cu-Si alloy / Fe-Cu-P alloy / electrically conductive material / phase equilibria / thermodynamics |
Research Abstract |
Fe-Cu-Si、Fe-Cu-Pに代表されるように、多くのFe-Cu基合金は広い2液相分離領域を持つ特異な相平衡を示すことが知られている。この2液相分離現象を利用し、鉄マトリックス上に銅リッチ相を微細分散させたFe-Cu基合金が高性能電導材、軟磁性材等として利用されている。しかし、Fe-Cu-X3元系状態図は十分整備されておらず、的確な合金組織制御のためには本系の正確な状態図が望まれている。本研究は代表的な電導材料用Fe-Cu基合金として、Fe-Cu-Si及びFe-Cu-P系合金を取り上げ、両3元系の相平衡を、特に工業的に重要な2液相分離領域を重点的に実測すると同時に、実験値と熱力学的モデルを組み合せ、本系の状態図と熱力学特性を数値化して確立することを目的としている。平成7年度では、1250℃から1550℃において、Fe-Cu-Si系の相平衡の実測を行うと共に、本系の相平衡を熱力学的に評価した。その結果、本系の状態図は、既報の状態図と大きく異なることが判明した。本研究の最終年度である平成8年度では、Fe-Cu-Si系における固体Si及びFeSi相の飽和溶解度線を1250℃から1550℃で実測すると共に、置換型準正則溶液モデルを適用して熱力学的にFe-Cu-Si系の状態図を決定した。更に、固一液拡散対法を用いてFe-Cu-Pi系における固体鉄と溶銅間の相平衡を1250℃で実測した。その結果、Fe-Cu-P系においても実測された相平衡は既報の状態図と一致せず、2液相分離領域をα-鉄、Fe_3P相等の固相安定域が分断する、極めて複雑な相平衡を示すことが分かった。2液相分離組成域は、既報の状態図よりかなり銅、鉄コーナーへ広がっており、1550℃でも2液相分離領域は消滅しないことが判明した。侵入型準正則溶液モデルを用いてFe-Cu-P系の相平衡を理論的に評価し、信頼できる状態図を構築することができた。
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[Publications] T.Nagasaka: "Fundamental Studies on the Removal of Cu, Sn and Zn from Remelted Steel Scrap" Steelmaking Conference Proceedings. 79. 589-597 (1996)
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[Publications] 日野光兀: "鉄スクラップ中のトランプエレメント分離法に関する基礎的検討" 日本鉄鋼協会循環性元素分離研究会, 307 (1996)