1995 Fiscal Year Annual Research Report
フロン規制措置に対応できるはんだ付け用有機亜リン酸系フラックスに関する研究
Project/Area Number |
07651039
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
柴 隆一 東京電機大学, 工学部, 教授 (90057232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠崎 開 東京電機大学, 工学部, 助教授 (30130298)
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Keywords | 有機亜リン酸 / 無洗浄型フラックス / フラックス作用機構 |
Research Abstract |
本研究の目的は「有機亜リン酸を用いる無洗浄型はんだ付け用フラックスの開発およびその作用機構解明」にある. 1.今までの研究から有機亜リン酸系フラックスは強いフラックス効果を示すものの,その効果をはんだ付け温度である220〜250℃まで持続することができず,一度清浄化された基板表面が後酸化を受け良好なはんだ付け性が得られない欠点をもつことがわかっている.その解決法として,はんだ付け温度領域に沸点をもつ有機亜リン酸をフェニルホスファイトとアルコールとのエステル交換により合成しフラックスとしての適合試験を行った.多くの試験対象品中ジオクチルホスファイト,ジヒドロキシプロピルホスファイトに市販超低残渣フラックス(ULF-210RNI)に匹敵する性能が認められ,また残渣はULF-210RNIの1/10〜1/20に低減した.これらの残渣量は無洗浄型フラックスとして充分使用に耐えうる値であり,当初の目的に沿った製品の開発に成功した.今後実用化に向けてのより詳細な試験を行っていく予定であり,現在関連企業との協力体制づくりを行っている. 2.有機亜リン酸のフラックスとしての作用機構を検討するためモデル系としての酸化銅と有機亜リン酸の反応に置き換え反応時の熱変化および重量変化を追跡した.有機亜リン酸による酸化銅の還元反応(フラックス作用)は大きな発熱を伴い,この挙動からフラックスとしての作用温度および効率を,また250℃以後の重量増加挙動から有機亜リン酸と酸化銅との反応比率を検討した.これらの検討からフラックスの作用機構として,3価のリンが酸化銅から酸素原子1個を引き抜き5価のリンへと変化する機構が推察された.今後種々の有機亜リン酸を対象にフラックスとしての作用温度および効率を測定すると同時に,反応後のリンが5価を取るかの確認を行い提案したフラックスの作用機構をより明確にする予定である.
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