1995 Fiscal Year Annual Research Report
セレノオキソ基を有する反応性中間体の発生とその化学反応性に関する研究
Project/Area Number |
07651044
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
滝川 雄治 岩手大学, 工学部, 教授 (00003848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 和明 岩手大学, 工学部, 助教授 (10142887)
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Keywords | セレノオキソ化合物 / セレノホスゲン / ハロゲン化セレノアシル / セレノ尿素 / セレノアミド / 含セレン活性化学種 |
Research Abstract |
セレノオキソ化合物は多様な化学変換が期待されるが、一般に不安定であり、研究が著しく立ち遅れている分野であった。本研究では、セレノオキソ化合物合成の反応性中間体と位置づけられるセレノホスゲンやハロゲン化セレノアシルの簡便な発生・合成とその化学変換を検討した。 HMPA中、トリクロロ酢酸ナトリウム/NaH/Se/2級アミンを130°Cに加熱したところ、相当するセレノ尿素1が中程度の収率で得られた。また、この系を80°Cに加熱したところ、主生成物はビス(アルキルセレノカルバモイル)トリセレニド2となり、セレノ尿素1も低収率で得られた。また、HMPA中、トリクロロ酢酸ナトリウムの代わりにCHCl_3を用い、130°Cに加熱しても相当するセレノ尿素1が得られた。一方、室温の反応ではトリセレニド2が主生成物であった。 この系をジハロメタン誘導体に適用した。即ち、HMPA中、ジクロロメタンメタンまたはジブロロメタンと単体セレン、NaH、2級アミンを120°C〜130°Cに加熱したところ、相当するセレノホルムアミドが中程度の収率で合成できた。また、同様の反応を置換塩化ベンザル、ω、ω-ジクロロアセトフェノン、ジクロロ酢酸エチルに適用したところ、中程度の収率で相当するセレノアミドが得られた。単体セレンと2級アミン、およびα-ハロカルベンの発生試剤である3-クロロ-3-フェニルジアジリンをHMPA中加熱してもセレノアミドが得られなかった事より、これら一連の反応は、カルベンと単体セレンからのセレノオキソ化ではなく、イオン機構を経て生成するものと推論された。しかしながら、これらの反応は、見かけ上、セレノホスゲン、ハロゲン化セレノアシルの発生法と位置づけられた。
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