1995 Fiscal Year Annual Research Report
形状可変型密閉容器による熱損失と有害排気成分の制御
Project/Area Number |
07651119
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 佳之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (20011158)
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Keywords | 内燃機関 / 燃焼 / 窒素酸化物 |
Research Abstract |
研究実績の概要(当該年度のまとめ) 1).本研究課題の目的を達成するための予備的実験として,まず密閉容器内の層流及び乱流火炎伝播過程の一定の段階に冷却素子による熱損失を付加したときの燃焼特性上への影響を調べる必要がある.このために平成7年度の実験は主に固定形状燃焼容器(円筒型)内の火炎伝播過程の初期および末期における燃焼ガスに熱損失を与えることの効果に関して実験を行った. 2).層流火炎伝播においては,初期火炎伝播過程に熱損失を付加した場合の燃焼時間上の影響はなかった.火炎伝播末期においては,4%程度燃焼時間は短縮された.燃焼ガス成分のNox濃度を測定したところ,火炎伝播過程初期に熱損失を与えると,No濃度が約40%低下した.同様に火炎伝播過程末期における熱損失付加では,生成濃度が約30%低下した.このことは,ホプキンソン効果による燃焼ガスの温度上昇を,熱損失を加えることによって低下させ,結果的にNO濃度の低減を計られたことを示唆する.なお,熱効率に関係する最高圧力値は両者はも約7%程度の低下を示した. 3).一方,乱流火炎伝播(乱流強度15m/s程度)において同様の実験を行うと,冷却素子の配置によって,NOx濃度は約30%〜40%,最高圧力は約1%〜4%程度低減した.燃焼時間については,火炎伝播初期に冷却素子を用いると約16%,末期では2.4%程度増大した.さらに,冷却素子を容器周壁付近に設置し,スワールの影響について調べたところ,NOx濃度は約50%程度,最高圧力値は3%程度低下し,燃焼時間は8%程度増大した. 4).これら結果の詳細な解析は未だ行っていないが火炎伝播の如何なる段階で,どの程度の熱損失を与えれば,熱効率を低下させずに有害排気成分を低下させることができるかの本研究課題達成上の有益な知見を得ることができた.
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