1995 Fiscal Year Annual Research Report
β-カロチンの赤血球膜における抗酸化機能発現メカニズムの解明
Project/Area Number |
07660151
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 泰志 東北大学, 農学部, 助手 (60194049)
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Keywords | β-カロチン / 抗酸化剤 / 赤血球膜 / ヒドロペルオキシド |
Research Abstract |
β-カロチンの生体内抗酸化作用をみるため、9週令ddy系マウスにβ-カロチン(0.6%または3.0%)を含む食餌を1週間与えた後、血液および組織のβ-カロチン、ビタミンA、E、および過酸化リン脂質濃度を測定した。β-カロチンの投与は、血漿、赤血球膜、肝臓、肺のβ-カロチン量を有意に増加させたが、ビタミンE量を減少させた。しかし、赤血球膜のビタミンA量は、β-カロチン投与による影響は見られなかった。一方、過酸化リン脂質量は、赤血球膜のホスファチジルコリンハイドロパーオキサイドとホスファチジルエタノールアミンハイドロパーオキサイド量が、β-カロチンの摂取量に応じて有意に減少したが、血漿や肝臓など他の組織では過酸化リン脂質量の減少は認められなかった。またβ-カロチンの投与により、赤血球膜と他の組織でβ-カロチンの異性体の組成に差が認められ、過酸化リン脂質の減少が認められた赤血球膜では、他の組織よりもシス型のβ-カロチンが比較的多く分布していたことから、β-カロチンが赤血球膜の主要な抗酸化因子であることが推察された。一方、健常成人の赤血球膜と血漿のβ-カロチン、α-トコフェロール、過酸化リン脂質量を測定したところ、赤血球膜の過酸化リン脂質とβ-カロチン量に弱い正の相関が、赤血球膜の過酸化リン脂質量と血漿のβ-カロチン量に弱い負の相関が見られたことから、過酸化されつつある赤血球膜では、血漿からβ-カロチンが移行しやすくなるものと思われた。
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