1995 Fiscal Year Annual Research Report
加圧下での氷結晶の生成速度, 形状及びサイズに対する圧力と過冷却度の影響
Project/Area Number |
07660166
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 寛一 広島大学, 生物生産学部, 教授 (30034474)
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Keywords | 凍結濃縮 / 氷点の圧力依存性 / 氷点降下 / 加圧融解操作 / 氷結晶比表面積 / 濃縮液付着率 / コーヒー抽出液 / 牛乳 |
Research Abstract |
本研究では、圧力を利用して氷結晶の生成制御を行なう高効率の凍結濃縮法を開発するために、加圧下での氷結晶の生成及び加圧融解特性、氷結晶の形状、サイズ及び濃縮液の付着率に与える過冷却度と圧力の影響を明らかにすることを目的とした.得られた研究成果の概要は以下のとおりである。 1、種氷結晶を用いない場合の過冷却崩壊(自然核発生)温度と冷却速度との関係を検討し、この結果をもとに短時間の加圧・除圧に伴う試料温度の急激な変化を利用することで、任意の過冷却度で自然核を発生させることが可能であることを示した。 2、各試料(糖類,牛乳、コーヒー抽出液)の氷点の圧力依存性を濃度20%又は40%の高濃度まで常圧から100MPaの範囲で測定し、各濃度における氷点の圧力依存性はほぼ相似であること、および、分子量不明の試料の氷点の濃度依存性を求めるための見かけの分子量の推定が可能であることを明かとした。 3、常圧での凍結では、濃縮液の付着量が多い(比表面積の大きい)針状又は板状の氷結晶が生成したが、この凍結過程に氷点が冷媒温度より低くなるような圧力を一定時間付与する加圧融解操作により氷結晶の形状の改変と微小二次核の消失を促し、その後に続く凍結過程で粒状又は板状で粒径が大きく比表面積の小さな氷結晶を成長させることが可能であることを明かとした。 4、その結果、氷結晶への濃縮液の付着量を常圧下で凍結した場合の半分以下にまで減少させ得ること、および凍結速度を従来法より高速にした場合でも本法の効果は顕著であることを認めた。 5、氷結晶への濃縮液の付着量は氷結晶の比表面積が同じなら試料粘度にほぼ比例するが、本法では試料濃度の増加に伴う粘度の増加率に比べて濃縮液の付着量の増加率は少なく、圧力付与の効果は濃縮液の粘度が高くなる高濃度範囲においても顕著であり、これらの結果を総合してり凍結濃縮操作への圧力利用の有用性に関する基礎的知見を得た。
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Research Products
(1 results)