1997 Fiscal Year Annual Research Report
小麦胚芽リポキシゲナーゼの特性とその利用に関する研究
Project/Area Number |
07660172
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Research Institution | Osaka Women's University |
Principal Investigator |
西山 淳子 大阪女子大学, 学芸学部, 教授 (00046583)
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Keywords | リポキシゲナーゼ / 小麦酵素 |
Research Abstract |
(1)昨年に引き続き,コムギ胚芽リポキシゲナーゼを精製し,比活性60Uの標品を得た。標品の分子量は95,000で,反応の至適pHは6.6付近にあった。この標品は電気泳動で3ケの活性バンドに分かれ,強陰イオン交換クロマトにより分離したこれらのアイソザイムのうち2ケはpH6.0と5.6に至適pHを有した。 (2)2種のアイソザイムについて,リノール酸基質,0.0125% Tween 20を含むミセル分散系でキネテイックを調べた。反応はいずれのアイソザイムもMichaelis-Menten型に従い,Kmは1.5〜3.0x10^<-5>Mの範囲にあった。またHill plotsから基質との結合部位は1ケと推定され,類似した性質を示した。 (3)pH6.6付近に至適を示す酵素について,1モル当たり4ケのチオール基を定量した。SH基に対して100倍量のp-ヒドロキシマ-キュリベンゾエ-トで処理しても活性には殆ど影響がなかったが,塩化水銀は80%の失活をもたらした。また,50倍量のジチオスレイトールで処理すると70%の活性が失われた。これより,酵素分子中の特定部位のSH基やSS結合が活性に関与していることが示唆された。 (4)これまでの結果から,コムギ酵素には弱酸性域に至適をもつ3種のアイソザイムがあり,分子量,至適pH,Kmの点で,イネやダイズII型の酵素に似ているが,界面活性剤への高い感受性はこれらの酵素とは異なることが明かになった。酵素のSH,SS基の役割については詳細な検討が必要である。今回の報告ではミセル反応性での実験について記載したが,リポソーム基質に対する反応性についてもデーターを蓄積中であり,すでに結果を得たダイズや平行して実験中のイネ酵素の酵素学的性質を比較して,植物酵素の機能やその利用について検討を進めている。
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