1996 Fiscal Year Annual Research Report
培養細胞のリグニンおよびLCCの形成に関する化学的・酵素学的研究
Project/Area Number |
07660216
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福田 忠徳 名古屋大学, 農学部, 助教授 (10023441)
|
Keywords | ハリエンジュ懸濁培養 / リグニン様沈澱物 / 沈澱物由来LCC / 分子量分布曲線 |
Research Abstract |
無菌ハリエンジュ幼植物体の茎外植片から誘導したカルスを用いて懸濁培養を行い、培養液中に生成されるリグニン前駆物質の検索と沈澱物から調製したMWLの理化学的性質を前年度は調べた。今年度は同じ沈澱物からLCCを調製し、その理化学的性質を調べ、リグニンおよびLCCの生成機構について考察した。 P培地(二次代謝系を促進する培地)およびC培地(一次代謝系が旺盛な培地)で40日間培養したとき生成された沈澱物からLCCを調製し、各種機器分析を行ってその理化学的性質を調べた。C-40pptLCC、C-40pptLCC両者ともC-カルスLCCと同様多量の窒素が含まれていた。糖含量はP-40pptLCCに対してC-40pptLCCは低く、一方ウロン酸含量はC-40pptLCCの方が高い値を示した。中性糖組成ではC-40pptLCCはアラビノースが、P-40pptLCCはグルコースの割合が最も多く、C-40pptLCCには細胞間層および一次壁の特徴であるアラビナン系多糖の存在が示唆された。UV吸収スペクトルの極大値は277nmに現われ、IR吸収スペクトルはC-カルスLCCのそれに類似しており、1660nmにアミド結合の強い吸収が現われた。ニトロベンゼン酸化分解によってリグニンの構成単位を調べた結果、P-40pptLCCの方がH/Vモル比は高く、p-ヒドロキシフェニル核を持つ化合物の割合が多いこたが示された。また分解生成物の収率が低いことからも、縮合型リグニンの割合が大きいこと、より高分子化されていることが分かり、C-40pptLCCよりさらに複雑な構造を有することが示された。ゲルろか分析の結果、どちらのLCCとも、高分子量フラクションと低分子量フラクションから成っていた。
|