1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07660240
|
Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
濱口 哲 新潟大学, 理学部, 教授 (20126444)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒泉 満 新潟大学, 理学部, 助教授 (40175360)
|
Keywords | メダカ / 性決定 / 性分化 / 性染色体 / 種間雑種 / 性転換 / 遺伝子 |
Research Abstract |
メダカの性染色体構成はXX-XY型であることは、従来から、Y染色体上の遺伝子の遺伝様式及び人為的性転換魚の子孫の性の解析から推定されていたが、Y染色体上に雄決定遺伝子があるのか、或いはX染色体の数が性を決めているのかという点については、これまで未検討であった。本研究では授精後の第2極体の放出を抑制することにより、XXXとXXYの性染色体構成の3倍体魚を得て、その性を検討した。その結果、XXX5匹、XXY4匹が得られ、前者はすべてメス、後者はすべてオスであった。以上の結果からメダカでもY染色体上に雄決定遺伝子が存在していることが示唆された。 メダカ属魚類の性染色体による性決定様式はメダカを除いて未確定であるので、第2極体の放出を抑制することにより同質2倍体の雌性発生魚の作成を試み、その性を検討することにより、ハイナンメダカの性染色体構成の推定を行った。得られた同質2倍体魚はすべてメスであったことから、ハイナンメダカはXX-XY型の性決定様式を持っていると推定された。 メダカとハイナンメダカの間ではメダカの系統により雑種個体で性転換が起こることあることが知られているので、メダカの2つの近交系を利用して遺伝解析を行った。その結果、性決定に関与する因子について、HD-rR系統とHNI系統の間にはハイナンメダカの性決定遺伝子への反応性の相違で区別できる多型が存在することが明らかになったその因子の性質について遺伝解析を行い、その因子は単一ではなく多数存在する可能性があることが示唆された。 以上の結果から、メダカ属魚類は哺乳類と同様の性決定機構を持っていること、すなわち、Y染色体上に性決定遺伝子を有し、その発現で個体の性をオスに決めていること、さらに、その性決定過程には複数の常染色体上の遺伝子が関与している可能性が高いことが示された。
|
-
[Publications] 濱口哲: "Bilaterally asymmetrical testesa in fishes of the genus Oryzias." Zoological Science. 13. 757-763 (1996)
-
[Publications] 松田勝: "Geographic variation and diversity in the mitochondrial DNA of the medaka,Oryzias latipes, as determined by restriction endonuclease analysis." Zoological Science. 14(印刷中). (1997)