1996 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸性魚類の生活史のパターン化と適切な資源管理・増殖対策の検討
Project/Area Number |
07660254
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Research Institution | MIYAZAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岩槻 幸雄 宮崎大学, 農学部, 助教授 (60213302)
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Keywords | フエダイ上科 / フエダイ類 / タカサゴ類 / 生活史 / 資源管理 / 増殖対策 |
Research Abstract |
フエダイ上科魚類は、大きく3つの生活史のパターンがあることが判明した。Aタイプの代表的なフエダイ亜科魚類は、沿岸浅所で成長して、そのまま沿岸の岩礁域や砂浜地帯で成長・産卵するものが多いが、成長と共に水深200mの深所に移動するものもいた。大部分のものは琉球列島以南に分布生息するが、種子島・屋久島以北にのみ生息・産卵しているものは、フエダイ・ヨコスジフエダイ及びクロホシフエダイの3種のみであり、産卵場所は3種ともすべて九州南岸及び北西岸であった。しかも、3種の主な産卵場所は一カ所しかなく、そこから産卵された稚魚は黒潮及び対馬暖流に乗り、太平洋岸では房総近辺、日本海側では新潟沿岸まで稚魚が運ばれ、接岸・成長していた。更にその後、成長と共に産卵場所である九州地区に南下回遊している可能性が強く強く示唆された。 Bタイプの代表的なハマダイ亜科魚類は、具体的な調査ではなかったが、琉球列島以南に分布し、沿岸域で主に産卵し、その沿岸浅所で成長し、その後成長と共に深所に移動するという生活史をもっているものと推察された。種子島・屋久島以北に、分布・産卵する種は殆どいないと判断された。Cタイプのタカサゴ亜科魚類は、琉球列島の珊瑚礁周辺で生涯の大部分を主な生息域として持ち、そこで産卵して浮遊期を送った後、生涯沿岸浅所の珊瑚礁周辺に生活史を持つと判断された。本タイプは、種子島・屋久島以北で分布・産卵するものはいないと判断された。 以上のことから、我が国の沿岸性魚類の資源管理や増殖対策の検討を加えるにあたり、フエダイ上科は3つの生活史パターンを考慮することが重要であり、更に種子島・屋久島近海でフエダイ上科魚類群集が完全に変わることから、琉球列島以南に生息するものと種子島・屋久島以北に生息するものと区別して考える必要があることが強く示唆された。
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[Publications] Yokoyama et al.: "Reproductiv behavior,eggs and larvae of a caesicnidfish,Caesio taerulawreus,observed in a aquarivem" J.Japan.Ichthyol.41・3. 261-274 (1995)
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[Publications] 岩槻幸雄: "日本の海水魚" 山と渓谷社, (1997)