1996 Fiscal Year Annual Research Report
畑作農業の動態過程-1960〜95年間のデータファイルの作成と分析-
Project/Area Number |
07660281
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 繁 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (00003145)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津久井 寛 帯広大谷短期大学, 助教授 (20217293)
金山 紀久 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (00214445)
|
Keywords | 畑作農業 / 農業調整 / 要素結合 / 野菜作 / 土地生産性 / 経営規模の分化 |
Research Abstract |
今年度は,1980年以降の経営規模の分化の過程に関する二つの分析と,農家の土地生産性に関する分析を行った. まず,経営規模の分化の過程における実際の農業調整のしかたを検討するため,個々の農家の経営成長と要素結合の関連について調べた.その結果,経営を引き継いだ若い経営者は経験を積むにつれて,農地の賃貸借を含む規模拡大か,あるいは機械化投資に向かう.この段階では農家の要素結合も分化する.けれども,50歳以上になると,経営規模と機械との結合関係は収斂する傾向に向かうことが示された.農業調整の過程には,このような世代論的側面があることは確認しておく必要がある. 近年の経営規模分化の加速化の過程で,どんな作付け構成を選択しているかを,経営規模の拡大,一定,縮小農家に分けて検討してみると,いずれのタイプでも野菜作拡大傾向がみられた.必ずしも,小規模農家が野菜作に特化しているわけではない.労働力条件のよい農家では野菜の作付け規模も大きい.また,畑作物の価格低迷期にあっても,規模拡大農家のなかには,積極的に畑作物の作付け拡大をしており,農業調整への対応が多様であることを示している. 個々の農家のてんさいと小麦の単収の時系列分析によると,小麦については収穫期の天候によって単収の分布がかなり異なることがわかった. 依然として,リスクの大きい作物である.てんさいについては栽培技術の普及によって,単収の分布は正規分布から乖離して左に歪む傾向がある.このことは経営規模の分化,野菜作の導入・定着とともに,栽培技術の水準も分化しつつあることを示している.このような段階における農業調整があり方が今後の課題であろう.
|