飼育下のチーターにおける繁殖生理と人口繁殖に関する研究

1995 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07660380
• Research Category: Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
• Research Institution: Kobe University
• Principal Investigator: 加藤 征史朗 神戸大学, 農学部, 教授 (90026386)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 土井 守 岐阜大学, 農学部, 助教授 (60180212) ; 楠 比呂志 神戸大学, 農学部・付属農場, 助手 (30211882)
• Keywords: チーター / 生物多様性 / 種の保存 / 発情周期 / 精液性状 / 精子凍結保存 / 体外成熟

Research Abstract

チーター(Acinonyx jubatus)は、世界自然保護連合が危急種に指定し、ワシントン条約の付属書Iに記載される希少動物で、ネコ科の野生動物の中では飼育下での自然繁殖が難しいと言われている。本研究の目的は、家畜や実験動物において既に確立された種々の研究手技を用いてチーターの飼育下個体の繁殖生理を明らかにするとともに、その人工繁殖技術を開発することにある。本研究は3年計画で行われており、初年度の平成7年度に得られた研究実績は次の通りである。(1)姫路セントラルパークで飼育・展示中の3頭の雌の非妊娠期および妊娠期の血漿中エストラジオール-17β(E2)およびプロジェステロン(P)濃度をラジオイムノアッセイにより測定したところ、それぞれ0.08〜33.31ng/mlおよび55.2〜468.6pg/mlの範囲であった。また、妊娠歴のある1頭の雌では、非妊娠期に9週間間隔でE2濃度の減少に伴うP濃度の増加が周期的に認められた。(2)同パークの6頭の雄から電気射精法により採取した精液の一般性状(精液量、精液pH、総精子数、精子運動性、精子生存性、精子形態)を調べたところ、雄間でかなりの差が見られたものの、いずれの雄でも家畜などに比べると性状は良好とは言い難く、特に奇形精子率の高さ(40.4〜84.0%)が顕著であった。(3)精子の凍結保存実験では、イエネコで用いられている希釈液(4%グリセリン、20%卵黄および抗生物質添加11%乳糖水溶液)を試したが、この方法では先体がかなりの損傷を受けることが判明した。また、精子の耐凍性にも個体差が見られた。(4)腎不全と闘争により同パークで死亡した3頭の雌の卵巣から卵母細胞の回収を試み、合計72個が得られたが、卵実質のサイズや色、形、また卵丘細胞層の付着具合から正常と判定されたのはわずか6個であった。これらをブタの方法に準じて体外での成熟誘起を試みたところ、1個の核相が第2成熟分裂中期に移行した。

Research Products

• [Publications] Osamu Doi: "Changes in Plasma Concentrations of Progesterone and Estradiol-17β in Non-Pregnant and Pregnant Cheetahs (Acinonyx jubatus)" Journal of Reproduction and Development. 41. 235-239 (1995)
• [Publications] 楠 比呂志: "チーターの繁殖生理と人工繁殖" 生物の科学 遺伝. 50. 24-29 (1996)