1996 Fiscal Year Annual Research Report
炎症における血小板を利用した中枢および末梢のα_2-アドレナリン受容体異常の評価
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07660427
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
日笠 喜朗 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (30165071)
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Keywords | 炎症 / 血小板 / 中枢 / 末梢 / α_2-アドレナリン受容体 |
Research Abstract |
本年度では、まずイヌ血小板凝集に対するα_2-アドレナリン受容体(AR)作動薬、遮断薬の特性をさらに詳細に調べた結果、エピネフリン(Epi)のADPとコラーゲン凝集促進効果はα_2-ARを介し発現され、α_1-AR、β-ARを介さないことを薬埋学的に明らかにした。さらに、α-受容体作用性および非α-受容体作用性の各種イミダゾリン誘導体の血小板凝集抑制効果について詳細に検討した結果、α_2-ARとは異なる別の受容体がイヌ血小板にも存在していることも示唆した。しかし、α_2-ARがイヌ血小板において存在することおよびその血小板凝集の性質が判った。そこで、犬の膝関節腔内へのカラゲニン投与により慢性炎症を惹起し、慢性炎症時におけるα_2-AR作動薬投与の影響、血小板凝集能の変化および[^3H]-ヨヒンビンを用いたラジオレセブターアッセイ(RRA)法による血小板と脳のα_2-受容体数と親和性を検討した。その結果、炎症時では対照群に比べα_2-AR作動薬投与後の鎮静時間、心拍数の減少、体温低下、呼吸数の減少などが短縮される傾向を示した。血小板凝集試験では、EpiのADP凝集促進効果は炎症群と対照群間に顕著な差はなかったが、α_2-AR遮断薬のヨヒンビンのEpi-ADP凝集に対する抑制効果は炎症群で対照群に比べ減弱される傾向を示した。RRA法では炎症群の方が対照群に比べ血小板膜のα_2-AR数が減少、大脳皮質膜と延髄液のα_2-AR親和性が低下する傾向を示した。以上の如く、本研究で作出した犬の慢性炎症モデルは、血小板と脳のα_2-AR数と親和性を変化させ、α_2-AR作動薬投与後の鎮静効果、心拍数の減少などへの反応性に影響を及ぼし、α_2-AR遮断薬の血小板凝集抑制効果へも影響を与えることを明らかにした。
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