1996 Fiscal Year Annual Research Report
毛髪を指標試料とした高毒性ダイオキシン類の人体汚染評価法の開発
Project/Area Number |
07670468
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
宮田 秀明 摂南大学, 薬学部, 教授 (80167676)
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Keywords | ダイオキシン類 / PCDD / PCDF / コプラナーPCB / 毛髪 / 分析法 / 人体汚染 / 汚染評価 |
Research Abstract |
ダイオキシン類はいずれも強毒性であり、現在の環境レベルの汚染で人体にホルモン的影響を及ぼし、また、生殖障害や免疫抑制などの生体影響を及ぼす可能性があるために、近年、欧米諸国においては積極的に汚染軽減対策が進められている塩素系環境汚染物質である。 本研究ではアイソトープ希釈法を組み込んだ毛髪中ダイオキシン類の新規分析法を開発した。本法は毛髪の洗浄・細切、アルカリ分解、ヘキサン抽出、多層シリカゲルカラム精製、アルミナカラム精製および高分解能ガスクロマトグラム・質量分析計による解析から構成されており、pptオーダーの微量分析が可能であり、再現性が良好な方法である。 本手法を用いて、一般健常者80名および主要な発生源であるごみ焼却施設の従事者60名から採取した毛髪試料についてダイオキシン類汚染状況を調査すると共に、アンケート調査を実施し、これらの結果を踏まえて汚染実態を明らかにした。その結果、毛髪は生活媒体、特に、住居や職場環境の大気汚染を極めて良く反映することが判明した。ごみ焼却施設からダイオキシン類が発生していることは既に明らかにされていたが、施設内環境に関しては全く不明であった。しかし、本研究の成果により施設内環境が一般環境よりも重度に汚染されていること、および職場により汚染が相違することが初めて究明できた。 ヒトは毎日多種類の生活媒体を移動しながら生活活動をしており、これらの媒体を通してダイオキシン類汚染を受ける。毛髪はこれらの媒体からの汚染を総合的に評価するための最適な汚染評価試料となる。本研究の成果は今後ダイオキシン類環境汚染対策に極めて有意な基礎的知見となるものと判断される。また、本手法はダイオキシン類以外の環境汚染物質についても適用可能であり、今後の環境汚染研究に貢献できるものと考えられる。
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[Publications] Hideaki Miyata: "Analytical method for polychlorinated dibenzo-p-dioxins,polychlorinated dibenzofuman and non-oitho chlorine substituted coplanar PCBs in human hair" Organohalogen Compounds. 23. 155-160 (1995)
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[Publications] Hideaki Miyata: "Assessment of human exposure to PCDDs,PCDFs and non- oitho coplanar PCBs by human hair as an indicator sample" Organohalogen Compounds. 30. 154-157 (1996)