1996 Fiscal Year Annual Research Report
EPRセル内細胞培養法を用いた一酸化窒素(NO)スピントラッピング法の開発。
Project/Area Number |
07670535
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
谷川 徹 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (80217124)
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Keywords | EPR (electron paramagnetic resonance) / 一酸化窒素 / スピントラッピング / マクロファージ |
Research Abstract |
MGD-Fe (N-methylglucamine dithiocarbamate iron complex)による細胞由来NOのスピントラッビング条件の至適条件を求め,マウスマクロファージ,ヒト白血球のNO産生をEPR (electron spin resonance)で測定を行った。水溶液用EPRセル中での細胞培養により,in situでの測定が可能となった。しかし酵素供給の問題もあり,通常のカルチャープレートでの測定と併用して実験を行った。 MGD-Feは鉄二価でのみNOトラップ可能であるが,フェロ鉄の安定性は溶液のpHや共存するイオン,MGD/Feなどの影響を受ける。遊離細胞の実験で用いる培地であるRPMI中ではフェロ鉄は容易に酸化されるが,HEPESの存在はこれを抑制する。MGD/Fe比は大きいほうがフェロ鉄は安定であるが,RPMI/HEPES中では比は10以上で安定化する。スピンアダクトMDG-Fe-NOは無酸素下で生成された後,酸素化されると非常に不安定であるが,無酸素下で混合した後,あらかじめ酸素化されたトラップより生成された場合は酸素存在下で数時間にわたり安定であった。 水溶液用EPRセルに,BULB/cマウスのチオグリコレート誘発腹腔マクロファージを両面に接着させ,γ-IF及びLPSを含むRPMI培地を灌流させ,6時間培養を行い,さらにNGD-Feを含むRPMI/HEPES培地に置換すると,EPRにて,MGD-Fe-NOと考えられる3本線よりなるシグナルが得られた。シグナルの強度は時間に比例して増大するが,数分でプラトーに達した。新たなトラップ液を送液すると再び同様のシグナル成長が観察された。対応する条件をカルチャープレートに移して行った場合,シグナルの成長はより長く観察されることより,EPR内の酸素枯渇が反応停止の原因と考えられた。γ-IF/LPS刺激時間とNO産生との関係では3時間より産生が見られ,その後産生速度は増大し,6時間でほぼプラトーに達した。 ヒト末梢血中の好中球やモノサイトよりもLPS刺激により同様のシグナルを得たが,いまだ十分な再現性と定量性を得るに至っていない。今後検討を続ける予定である。
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