1995 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチにおける視床下部-下垂体-副腎系の異常の解析
Project/Area Number |
07670536
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
佐野 統 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (00196304)
|
Keywords | 慢性関節リウマチ / 神経ペプチド / corticotropin-releasing hormone / β-endorphin / アジュバント関節炎 / 滑膜 / Alzetポンプ / 抗血清 |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(RA)の病態における視床下部-下垂体-副腎系の異常を調べるため、RA患者およびモデルラット(SCWおよびアジュバント)関節炎を用いてcorticotropin-releasing hormone(CRH)やβ-endorphinの役割を検討した。 1)RA患者滑膜(表層細胞、炎症性単核球、フィブロブラスト様細胞、血管内皮細胞)においてCRHとβ-endorphin蛋白の著明な発現を免疫染色法を用いて証明した。2)RA患者滑膜ではCRH及びβ-endorphin蛋白は変形性関節症(OA)患者に比べ、有意に強い発現(P<0.01)がみられた。3)RA患者滑膜ではCRH mRNAが滑膜表層細胞、炎症性単核球、フィブロブラスト様細胞、血管内皮細胞において強く発現していた。一方、OA患者滑膜では表層細胞において弱い発現がみられるのみであった。4)RAのモデルラット(SCWおよびアジュバント)関節炎でも炎症の増強に伴い滑膜、軟骨、周囲皮膚においてCRH及びβ-endorphinの発現増強がみられた。5)グルココルチコイド投与によりモデルラット(SCWおよびアジュバント)関節炎と同時にCRH及びβ-endorphinの発現も軽度抑制された。6)抗CRHまたは抗β-endorphin抗血清をAlzetポンプを用いて2週間雌Lewisラット腹腔へ投与するとアジュバント関節炎が抑えられた(約40-50%)。7)抗CRH抗体投与により免疫染色では関節滑膜や軟骨におけるCRHの発現は抑制されていた。 現在、抗CRHまたは抗β-endorphin抗血清による関節炎治療のメカニズムについて検討しているところである。また、他の神経ペプチド(Substance-P,Somatostatinなど)についてもRA患者滑膜における発現を調べる予定である。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 佐野 統ら: "慢性関節リウマチ患者滑膜におけるシクロオキシゲナーゼ-1および2の発現" 炎症. 15. 241-247 (1995)
-
[Publications] Sano,H.,et al.: "Expression of cyclooxygenase-1 and-2 in human colorectal cancer" Cancer Res. 55. 3785-3789 (1995)
-
[Publications] Kawahito,Y.,Sano,H.,et al.: "Corticotropin relesing hormone in colonic mucosa in patients with ulcerative colitis" GUT. 37. 544-551 (1995)
-
[Publications] 佐野 統: "関節破壊における低分子メディエーターの役割" MEBIO. 12. 87-94 (1995)
-
[Publications] 佐野 統ら: "慢性関節リウマチ患者滑膜におけるCOX-1および2mRNAの発現" リウマチ96'. 印刷中 (1996)
-
[Publications] 佐野 統: "COX2ノックアウトマウスにおける病態" 臨床免疫. 印刷中 (1996)
-
[Publications] Hla,T.,Sano,H.,et al.: "Role of the early response gene cyclooxygenase(COX)-2 in angiogenesis. In Angiogenesis:Molecular Biology and Clinical Aspects" Plenum Press.,N.Y.(ed by Macagondakis,M.E.)(in press),
-
[Publications] Sano,H.,et al.: "Polymyalgia rheumatica and giant cell arteritis. In Chinical lmmunology" Oxford University Press.,London.(ed by SenGupta,P.)(in press),