1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト捕足運動野と帯状回運動野の行動制御に関する臨床的研究
Project/Area Number |
07670727
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
田中 康文 自治医科大学, 医学部, 講師 (20163587)
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Keywords | 補足運動野 / 前部帯状回 / 把握反射 / 本態性把握反応 / 道具の強迫的使用 |
Research Abstract |
現在までの前頭葉内側面障害35症例の検討では,左右半球いずれの補足運動野が障害されてもその対側の手に把握反射が出現し,前部帯状回が障害されると,その対側の手に視覚性探索反応を含む本能性把握反応が出現することが確実になった.このことから補足運動野は体性知覚刺激により誘発された運動を,前部帯状回は視覚刺激などの外的刺激により誘発された運動を調節制御するように機能していると思われた.更に前部帯状回の後部領域と前部領域では行動を調節する機能が異なる可能性も強く示唆され,前部帯状回の後部領域の機能は外的刺激に対して接触を求めようとする運動を調節制御し,前部帯状回の前部領域では外的刺激に対して動機に基づいた行動を調節制御している可能性も強く示唆された.この前部帯状回の後部と前部領域の両者が障害されると,目の前に置いた道具を触ろうとするばかりでなく,その道具を使用するという動機を調節制御できなくなり,その結果,自分の意志に反して目の前の道具を強迫的に使用するという道具の強迫的使用現象が生じると思われた.このように前頭葉内側面の中でも補足運動野と前部帯状回とでは行動を調節制御する機能が異なり,更に前部帯状回の前部と後部領域でも行動調節機能が異なる可能性が強く示唆された.今後,更に前頭葉内側面ばかりでなく外側面の機能も追求する予定でいる.
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[Publications] Tanaka Y: "Diagonistic dyspraxia : clinical characteristics,responsible lesion and possible underlying mechanism" Brain. 119. 859-873 (1996)
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[Publications] Tanaka Y: "Amnesia following damage to the mammillary bodies" Neurology. 48. 160-165 (1997)