1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト補足運動野と帯状回運動野の行動制御に関する臨床的研究
Project/Area Number |
07670727
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
田中 康文 自治医科大学, 医学部, 講師 (20163587)
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Keywords | 補足運動野 / 前部帯状回 / 把握反射 / 本能性把握反応 / 道具の強迫的使用 |
Research Abstract |
現在までの主として脳梗塞による前頭葉内側面障害約27例の集積結果では、従来、把握反射は左半球の前頭葉内側面の障害例にみられることが多いと言われていたが、左右いずれの半球の前頭葉内側面、特に補足運動野が障害されてもその対側の手に把握反射が生じることが判明した。前部帯状回障害例においても同様に、左右いずれの半球が障害されてもその対側の手に視覚性探索反応を含む本能性把握反応がみられ、さらに目の前においた道具を強迫的に使用するという道具の強迫的使用現象は左半球の前頭葉内側面のみに生ずるという報告に反して、左右いずれの前頭葉内側面が障害されてもその対側の手にみられ、前部帯状回に比較的病巣が限局した症例でも道具の強迫的使用現象がみられることが判明した。しかしこのような道具の強迫的使用現象は前部帯状回が広汎に障害された症例のみにみられ、前部帯状回の一部、特にその後部の障害例では、視覚性探索反応を含む本能性把握反応のみを示し、道具の強迫的使用現象がみられなかった。一方、視覚性探索反応の程度は前部帯状回の前部と後部障害例ではその程度は異なり、後部障害例の方がその程度は強く、前部障害例では比較的軽度であった。しかし検者の行為を無批判に模倣するという異常行動はその逆で、前部帯状回の後部障害例ではみられず、前部障害例に著明にみられた。これらのことから前部帯状回の中でもその前部と後部の機能は異なる可能性が示唆され、今後、さらに症例数を増やし、道具の強迫的使用現象との関係を追求していく予定である。
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Research Products
(2 results)