1995 Fiscal Year Annual Research Report
先天性心疾患モデルラットの全胎仔培養による心奇形発生機序の組織学的解明
Project/Area Number |
07670857
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
中川 雅生 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (40188909)
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Keywords | 心大血管奇形 / 神経堤細胞 / 胎仔培養 / WKY / NCrjラット / ビスダイアミン / 三次元的再構築 |
Research Abstract |
胎生10.5日のSprague-Dawley系ラット胎仔を用いてNew(1973)らの方法により全胎仔培養を行った。ビスダイアミン50mgを添加した培養ビン中では胎仔の発育はコントロールに比してよくないにも関わらず、心臓形成過程で形態的に明らかな差を認めなかった。添加するビスダイアミンを100mgに増量すると胎仔の発育はきわてめ不良となり、コントロールと比較することは適当でないと思われた。そこで、Sprague-DawleyおよびWisterの2系統の母ラットにビスダイアミンを投与し、それぞれで心奇形発生の頻度に差があるかどうかを検討した。その結果、Sprague-Dawley系では、妊娠9.5日、10.5日、11日に投与した場合に各々35.1%、64.1%、10.5%の奇形発生率であったが、Wister系では妊娠9.5日、10.5日、11日に投与すると心奇形の発生率は各々100%、92.8%、45.6%でラットの系により差のあることが明らかとなった。このため、コントロールおよび実験に使用する系をWisterに変更した。 現在のところ、観察し得た心臓発生過程において、ビスダイアミン投与群やWKY/NCrjラット胎仔とコントロール群との間に形態的な差を認めるには至っていない。しかし、ビスダイアミンを投与したWister系胎仔を検索したところ、コントロールと対比して第3、4鰓弓や第3、4、6動脈弓でのN-CAMの発現の少ないことが明らかになった。今後、これと心血管系との関連について検討を進めていく。また、Wister系ラットはビスダイアミンに対する感受性がSprague-Dawley系より高いと考えられ、Wister系を用いればビスダイアミンが作用する器官や時期がより特異的に示されると同時に、さらに低濃度のビスダイアミンでも予定した実験を遂行できる可能性が示されたと考えられる。
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[Publications] Hiroto Okagawa: "Immunolocalization of N-CAM in the heart of the early developing rat embryo" The Anatomical Record. 243. 261-271 (1995)
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[Publications] Hiroto Okagawa: "Immunolocalization of vinculin in the heart of the early developing rat embryo" The Anatomical Record.
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[Publications] 笹原彰子: "学校心電図検診で発見された心膜欠損の1例" 心臓. 27. 714-717 (1995)
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[Publications] Masao Nakagawa: "Developmental mechanisms of heart disease(分担執筆)" Clark,EB Markwald RR,Takao A eds Futura Publishing Company,Armonk,NY, 679 (1995)
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[Publications] 中川雅生: "Annual Review循環器1995(分担執筆)" 杉本恒明、松本昭彦、杉下靖郎、門間和夫編、中外医学社、東京, 298 (1995)