1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07670944
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡本 祐之 京都大学, 医学研究科, 講師 (10142291)
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Keywords | 一酸化窒素 / 表皮細胞 / 皮膚 / 紫外線 / 炎症性疾患 / iNOS |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)の産生に関与しLPSなどで誘導されるiNOSが種々の炎症性皮膚疾患でケラチノサイトに発現されていることが確認された。乾癬ならびにアトピー性皮膚炎の表皮におけるiNOS発現の推移を調べると、ステロイド外用剤による治療によって皮膚症状の改善とともにiNOS発現の低下が観察された。一方、炎症性皮膚疾患の動物モデルであるマウス接触アレルギー反応における表皮細胞のiNOS発現は24時間をピークに観察されたが、クロトン油による一次刺激性皮膚炎でのiNOS発現との間に明らかな差は認められなかった。また、アトピー性皮膚炎患者から末梢血を採取し、ケラチノサイトと混合培養するとケラチノサイトからのNO産生が正常人末梢血に比べて有意に増強することが認められた。これらのことから、炎症に伴い種々のサイトカインが遊出されiNOSが発現されることにより生じたNOが、炎症性皮膚疾患に投与することが推察された。 次に紫外線皮膚炎におけるNOの関与では、すでに日焼け細胞の形成と耳介腫脹に対して、NO阻害剤が抑制することを認めた。今年度はさらに紫外線のマウス接触アレルギー反応抑制作用に対する効果をNO阻害剤を用いて検討した。紫外線照射と抗原感作方法は大量紫外線照射を行い非照射部位に抗原感作を行う系と、少量の紫外線を感作部位に照射する系である。NO阻害剤であるL-NAMEを紫外線照射前後でそれぞれ腹腔投与したが、両系とも紫外線の接触アレルギー反応の抑制効果に対する影響は認められなかった。これらのことから、NOは紫外線の皮膚に対する直接障害に関与するものの、紫外線が及ぼす免疫反応には効果が認められないことが示された。
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