1996 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚真菌症に対する感染防御におけるサイトカインの役割
Project/Area Number |
07670976
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
古賀 哲也 福岡大学, 医学部, 助教授 (20195697)
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Keywords | スポロトリコ-シス / サイトカイン / IFN-r / T細胞 / 遅延型過敏反応 |
Research Abstract |
スポロトリコ-シスは、Sporothrix schenkiiを原因菌とし主に皮膚に慢性の結節性または潰瘍性の病変を生ずる皮膚深在性真菌症である。本菌に対する宿主の感染防御機構として、遅延型過敏反応が重要な役割を果たしていると考えられている。一般に遅延型過敏反応の発現に関与する主なサイトカインとしてIFN-γが知られている。本症患者末梢血単核球を用いて、スポロトリキン刺激によるIFN-γ産生能を検索し、皮膚病変の発現および感染防御におけるIFN-γの関与を検討した。スポロトリキン遅延型皮内反応は陽性。スポロトリキンを用いたリンパ球幼若化試験では高い刺激比を示した。また患者末梢血単核球をスポロトリキンの存在下で72時間培養した培養上清中には高いIFN-γ活性が認められた。以上より患者末梢血中にはスポロトリキン刺激により増殖し、またIFN-γを産生する、スポロトリキンに特異的なT細胞が存在することが判明した。おそらくこのような抗原特異的T細胞が感染局所において遅延型過敏反応が引き起こし、真菌の排除に重要な役割を演じていると考えられた。CD4陽性T細胞は、サイトカイン産生態のちがいからTh1とTh2に分類され、Th1はIL-2やIFN-γなどを産生し、IFN-γなどによってマクロファージを活性化し遅延型過敏反応を誘導する。おそらくスポロトリコ-シス病変部では、Thlの選択的活性化とそれに伴った遅延型過敏反応が生じているものと思われた。
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